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獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん動物介在療法と動物介在活動
文章−プロキオン(獣医師)
初出:2003/04/19
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我が国では、マスコミがアニマルセラピー(動物介在療法)と称して、流布してしまっているので、この名称が用いられていますが、これは誤りと言えます。
アニマルセラピーということになると、これは完全な医療行為の一環であって医師による治療計画とその効果判定が必要となります。
日本では、おそらく1〜2ケ所くらいしか実施されていないはずです。

で、私達が実際に特別養護老人ホームにお邪魔して実施しているボランティア活動はアニマルアシステッドアクティビティー(動物介在活動)になります。
こちらの活動においても実際に四肢麻痺の方が手を動かしたり、耳に障害のある方が実は聞こえていたとか活動している私達が驚かされるようなことがあります。
私達の活動においても確かに医療効果の発現は見られますが、それを意図したものではありません。
「犬の頭をなぜてあげてくださいね」と右手をとって誘導したとして、その手をどこまでどの角度で引いて良いかは、患者の主治医の判断が必要です。
「お隣に猫がいますよ、見えますか」と声をかける場合も、その患者さんの首がどちらの向きにどの範囲まで動かして良いかは、主治医が決めることです。
アニマルセラピーであれば、患者さんと動物の組み合わせやどのような位置に動物を位置させるか、どのくらいの時間作業させるかを事前に主治医と打ち合わせする必要があります。
それをするから「セラピー(療法)」を名のれるのです。治療が目的であるのなら、医師の参加が必要です。

医師の活動への参加が望めなければ、それはあくまでも「動物介在活動(AAA)」の範囲なのです。まあ、そうは言っても こちらの活動も捨てたものではありません。
有意義なものと感じているからこそ、私も継続して参加しています。
このような動物介在活動については、施設の方からも盛んに自分のところでも実施してくれないかと依頼があります。
しかし、ボランティア活動であり、人的及び動物的にも制約があり、それらの依頼に応じきれるものでもありません。
お住まいの県の福祉保健部や獣医師会に そのような活動をしているボランティア団体があるか尋ねてみると良いでしょう。
もし、なければ、この活動に興味をお持ちのあなたが、犬なり猫なり、ウサギでもモルモットでも飼育されると良いと思います。

動物にとって大事なことは、訓練によってそういう活動に参加させるのではなく、その動物が適正として人間が好きである必要があります。
そうでないと、活動時間中、ずっと彼等は緊張してストレスを感じていることになってしまいます。
人間といっしょに過ごすことが大好きな動物を育てるということは、特別な資格や技術を必要とするものではありません。
どれだけ、相手のことを考えてあげることができるかなのです。
また、適正のある動物といえども、疲れてストレスサインが出てきたなら、休ませてあげる必要があります。
これをするからこそ、彼等も嫌がらずに協力してくれるわけなのです。
動物は決して人間の道具ではなく、これらの活動が彼等にとっても大勢の人間と触れ合える楽しい活動であることを人間が保証してあげる必要があるのです。
それがかなわないようであれば、私はこのような活動に対して反対する立場に回らなくてはなりません。
そうならないように配慮願います!

「用語解説:動物介在活動、動物介在療法、動物介在教育」

AAA:Animal Assisted Activity「動物介在活動」動物とのふれあい活動で、対象となる人の生活の質の向上、情緒的な安定、また教育やレクリエーションを目的として実施される。

AAT:Animal Assisted Therapy「動物介在療法」医療行為の一環であり、専門的な治療行為として実施するものであり、対象者の身体機能、社会的機能、精神面の向上回復を目的とする。

AAE:Animal Assisted Education「動物介在教育」こちらはまだ明確な定義はないのですが、人間も動物も自分以外の他者とふれあうことによって、他者を受け入れる事ができるようになる。
犬も猫も子供のうちにふれあうことで、お互いを恐れなくなる。
人間も他の動物達の生命を脅かすような虐待に走らなくなる。
第三者の人間に対しても全人格を否定するような行為に抑制が働くようになるという理論にもとづいています。
主に、小学校のような教育の場において実施される。
動物との触れあい方を獣医師やボランティアの手によって行う訪問活動と教師の手による部分とがある。

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犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍−第四版2022/02/23公開

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