獣医師広報板トップページ動物よくある相談メニューインフルエンザウイルスの基礎知識
獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃんインフルエンザウイルスの基礎知識
文章:saito(獣医師)
初出:2004/09/04
◆「動物よくある相談」利用についての注意事項
★情報は自己責任でご利用ください。
★記載されている記事は獣医師広報板の掲示板に投稿されたものが中心で、獣医師広報板の
 見解を代表するものではありません。
★飼育方法の質問は意見交換掲示板をご利用ください。
◆こどもあんぜんサイト宣言◆
こどもあんぜんサイト宣言

ウイルスってなに?
 ウイルスは遺伝物質と遺伝物質を囲む蛋白(カプシド),それを守る「殻(エンベロープ)」からなる微生物です。自力では遺伝物質を複製することもエンベロープを作ることもできないので,他の生物の細胞に侵入して細胞がもっている遺伝物質の複製装置や蛋白質の合成装置をのっとり,自分と同じウイルスを複製させて増殖します。

 生きた細胞から離れた状態では数日〜20日程度で感染力を失います。

前のページに戻る

ウイルスと宿主特異性
 ウイルスは種類によって感染できる動物(宿主)と感染できない動物があります。これを「宿主特異性」といいます。ウイルスが感染した動物が必ず病気になるわけではなく,ウイルスが動物の病気を引き起こすのはウイルスが感染する動物のなかでもその一部に限られます。
 ウイルスは増殖に適した宿主に感染すると,短時間で増殖しますが,増殖に適していない宿主に感染した場合は増殖に長い時間かかるのが普通です。しかし,ウイルスが体内で生存競争を繰り広げると,増殖スピードが少しでも早いウイルスが一足早く体内で大量のウイルスを産生することになり,徐々にその宿主に適したウイルスが増えていくことになります。つまり,人間でH5N1型が感染した場合,感染した人間の体内で人間に適したウイルスの選別が行われているわけです。ここでウイルスがうまく人間に適応すると人間の体内で増殖するウイルスが生き残り,他の人間にも感染するという事態がおこります。
 政府やWHO(世界保健機構)が恐れているのが,この人間に適応した新しいインフルエンザウイルスの出現です。ですから,鳥インフルエンザウイルスの人間への感染に関するニュースでは「人間から人間への感染」が起こっていないかどうかを注意するようにしましょう。(たとえ人間に感染するウイルスが出現したとしても,日本ではよく効く薬を利用することができますから,それほど恐ろしい病気ではありません。)


H5N1型って?
 インフルエンザウイルスはカプシドの種類によってA,B,C型に分けられます。エンベロープに蛋白質でできた2種類の突起(HとN)があり,この突起の組み合わせがH1〜H15型,N1〜N9型まであります。
 基本的に,人間に感染するA型インフルエンザウイルスはH1,H2,H3型ですが,H5,H7,H9型の感染が報告された例もあります。(B型インフルエンザも人間に感染しますが,大きな流行となることは少ないようです。)
 犬や猫,牛に感染するA型インフルエンザはこれまで報告されていませんでした(最近になってトラや猫で感染の報告がありました)。
<インフルエンザの型と病原性>

H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15
N1 ブタ
ヒト
クジラ
               
N2 ヒト
ブタ
ヒト
鶏                 
N3     アザラシ                        
N4     ミンク          
N5       アザラシ                      
N6       ブタ
アザラシ 
                     
N7                              
N8 鶏 
ウマ

ウマ
アザラシ
               
N9                         クジラ    
カモには全ての型が感染します。
赤色で示したなかの一部に特に病原性の高い高病原性鳥インフルエンザが含まれます。
前のページに戻る

ウイルスがまざるってどういうこと?
 基本的にインフルエンザウイルスが感染する動物は限られていますが,まれに別の動物にも感染することがあります。インフルエンザウイルスは遺伝物質がいくつかの断片に分かれているため,別々のウイルスが同じ個体に感染すると,その個体の細胞のなかで遺伝物質がまざりあい,これまでは存在しなかった新しいタイプのウイルスが生じることがあります。
 こうやって生じた新しいウイルスには誰も抵抗性をもたないので,流行が広がりやすくなると予測されています。
 しかし現在ではA型インフルエンザに効果のある薬(アマンタジン)や,A型とB型のインフルエンザウイルス両方に効果がある薬(オセルタミビル,ザナミビル)がありますので,新しいウイルスのほとんどに対してもこれらの薬が使えるでしょう。症状が始まってから早めの服用が必要ですので,心当たりがある場合は早めに医師の診察を受けましょう。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。


何をされてもぐっすり
画像募集中!!(無料)
画像集

◆ポスターを自由にご利用ください
★猫は飼っても産ませるな。
猫の多頭飼い崩壊予防啓蒙ポスター(pdfファイル)
★ペットを一生責任持って飼えるか、飼う前によく考えましょう。
終生飼育啓蒙ポスター(pdfファイル)
★動物病院での飼い主さんによる暴力・暴言・迷惑行為は診療を継続することが出来ません。
動物病院での暴力・暴言・迷惑行為禁止ポスター(pdfファイル)

◆獣医師広報板管理人の独り言
利用上の注意事項&メニュー
2025年2月のBest
  1. 動物愛護は絶対的正義で、社会はひれ伏すもの度チェック!!(279)
  2. SNSへのペットの亡骸写真のアップは是か非か(127)
  3. 老犬の放棄と殺処分ゼロ((100)
  4. テレビドラマ「リラの花咲くけものみち」を見て(83)
  5. 若い人の動物愛護業への(79)
  6. 大阪万博ペット同伴絶対反対(78)
  7. うつ病はただの病気(61)
  8. ワンニャン平和党の設立(59)
  9. 「愛誤」という単語(58)
  10. ドイツの狩猟法による犬猫の殺処分数(56)

◆獣医師広報板よくある質問(FAQ)

◆獣医師広報板からのお願い
獣医師広報板をご利用、本当にありがとうございます。
獣医師広報板は個人サイトですが、その運営はボランティアスタッフが担い、運営資金はサポーターの応援に頼っています。
獣医師広報板は多額の累積赤字を計上しております。
サポーターは企業でも個人でも結構です。
ぜひ、獣医師広報板をサポーターとして応援ください。

◆PC版コンテンツ利用数Best(2025年2月期)
  1. 猫のカロリー計算(9,463)
  2. 管理人の独り言(7,084)
  3. 動物よくある相談(4,280)
  4. 犬のカロリー計算(2,585)
  5. 広報板カフェ(1,676)
  6. 迷子動物、保護動物掲示板(1,294)
コンテンツ別アクセス数

◆電子図書
電子図書「"犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍」は、2022年2月23日より第四版になっております。
新しいエピソードも追加され、データーも更新されています。
第一版、第二版、第三版を読まれた方も、是非第四版をお読みください。
犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍−第四版2022/02/23公開

◆一般市民向けの動物に関するセミナー・イベント
★毎週土曜日午後1時〜4時
ペットロスホットライン
ペットロスホットラインは、今のお気持ちをお聴きする電話です。
★WEB講座
★〜4月7日:千葉県柏市
★〜4月20日:福岡県宗像市
★4月3日-6日:東京都江東区
★4月6日:東京都台東区
★4月6日:ハイブリッド開催,大阪府大阪市
★4月6日:東京都大田区
★4月6日:岩手県盛岡市
★4月11日:オンライン
★4月12日:オンライン
★4月12日,13日:東京都江東区
★4月13日,5月11日,6月8日,7月13日,8月3日,9月14日,10月12日,11月9日,12月14日:東京都豊島区
★4月14日-28日:オンライン
★4月17日:オンライン
★4月19日:兵庫県尼崎市
★4月19日,5月24日:東京都品川区
★4月22日:オンライン
★5月3日-5日:千葉県千葉市
★5月3日-18日:愛知県名古屋市
★5月7日:オンライン
★5月10日:東京都大田区
★5月11日:千葉県習志野市
★5月17日:愛知県長久手市
★5月17日:オンライン
★5月25日:東京都大田区
★6月6日:東京都江東区
★6月13日-15日:大阪府大阪市

セミナー・イベント情報はメールにて広報内容を送ってください。(掲載無料)

◆ペット動物獣医師&動物看護師向けの動物に関するセミナー・イベント
利用上の注意事項&メニュー

◆経済動物獣医師向けのセミナー・イベント

◆公衆衛生獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆実験動物獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2025 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。