獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201011-11

Re:風邪をひいている猫と接したあとは…
投稿日 2010年11月11日(木)17時31分 投稿者 プロキオン

猫掲示板での話しからということになりますと、猫伝染性鼻気管炎ウイルスと猫カリシウイルスについてのことですね。

ごもっともな質問なのですが、通常というか、普通、私達街の臨床医というものは、ウイルスが生体外でどのくらいの時間生存できるかという考えは、あまり持たないものです。というのは、屋外に病原体のウイルスを媒介している存在がいる、それが動き回っているというだけで、充分に問題があると考えているからです。
つまり、ウイルスがクシャミや排泄物とともに、撒き散らかされたとして、そのウイルスが1時間あるいは、1日後に不活化されて死滅したとしても、ウイルスの排泄がその1回だけではないからです。
感染していてウイルスを排泄しつづける存在があれば、その1時間あるいは、1日がずっと継続しつづけるからです。公園にウイルスを排泄している罹患猫がいれば、その猫がいる限り、ウイルスに接触する可能性は、ずっと継続されるからです。
また、別の観点からになりますが、臨床医は基礎医学の研究者ではありませんから、自ら病猫からウイルスを分離して、そのウイルスの生体外における生存期間というものを確認する術をもっていないからです。興味をもったにしても、大学や研究機関でもないと実験しようがありません、また、それらの機関にしても、研究費をつぎ込むにしては、あまり魅力的な研究内容ではないと思います。まあ、それは前述のような理由からです。
ひらたく申しますと、ウイルスの体外における生存期間というものについて、即答できる臨床医はあまりいないということになります。

まあ、そうは言っても、何も分かりませんというのでは、あまりに芸がないので、成書をあさったところ、サウンダースの感染症の項目に記載がありました。

猫伝染性鼻気管炎ウイルスの体外での生存期間が、18〜24時間。猫カリシウイルスの場合が、8〜10日というものでした。

同じ箇所の記述で、罹患した猫は通常2週間くらいの期間に亘ってウイルスを排泄しづけて、治癒したとされる猫においても、その後何ヶ月、何年と準臨床的なキャリアとなる、という事がつけくわえられておりました。

同じく消毒ということになりますと、次亜塩素酸ナトリウムが推奨で、32倍希釈の液で10分だそうです。これは、生存期間が長いカリシウイルスについて有効な濃度と時間ということになります。


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