獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201106-27

Re:犬の食糞について。
投稿日 2011年6月20日(月)04時07分 投稿者 パールちゃん

http://www.vets.ne.jp/faq/pc/feces001.html に「食糞症」の説明がありますので、まずは読んでみてください。

[問題行動]のジャンルで語られることの多い食糞ですが、上記のなかでも書かれているように、犬がうんちを食べるのは異常なことではありません。むしろ普通のことです。それを「問題行動だ、困ったぞ」と決めつけている飼い主のほうが「問題行動」なのです。
犬がうんちを食べるのは異常なことではない・・・を理解したうえで、でも「やめさせたい」のが飼い主の心情です。
やめさせるにはどうしたらいいか・・・一言で言うと、「うんちを食べてもいいよ」と飼い主が思うのがいちばんです。
ハルさんがしてきた、フードを変えたり、うんちが苦くなるサプリを使ったり、排泄に注目したり、あわててうんちを取り上げたり、食べてしまったとき怒って口を拭いたりは、すべて、「うんちを早く食べなさい」と教えている意味になります。
「食べちゃダメ」のつもりが「食べろ」として犬に伝わっています。
「食べろ」と言われたから食べたのに、なぜ怒るの?と犬はとまどいます。そして、犬なりに考えて、うんちをしちゃいけないんだ、そう思います。
飼い主は[うんちを食べること]を叱っているのに、犬は[うんちをすること]を叱られたと受け取る・・・でも、うんちをしたくなる・・・どうしよう、うんちをしたら叱られる、我慢しよう・・・でも、したい、見つからないようにうんちしよう・・・その結果が排泄リズムの乱れやあちこちでするという行動につながっています。
犬が覚えが悪いのではなく、飼い主が間違った接し方をしている、それが食糞の原因のほとんどです。

約半年、「うんちをするな」と飼い主から言われ続けてきたのですから、まずは「ごめんね」と犬に謝ってください。
次にすることは、うんちを食べていても「別にそんなことなんとも思ってないよ」という態度を見せること。
その次が大切です、食べずに残っているうんちを見つけたら、そのうんちに向かって「いいうんち、○○ちゃんがしたの? すごいねー、いいうんちだねー」とニコニコ顔でうんちそのものを誉めちぎります、チラチラと犬のほうを見ながら。
それわたしがしたの、ほめられた、うれしい、またほめられたい、うんちしたらたべずにみてもらおう・・・犬はそう思います。
これを繰り返しながら、さらに、うんちを犬のトイレに持って行き、そこでもっとオーバーに誉めれば、「あそこのうんちは特別にものすごく誉められる」と考え、トイレでするようになります。

5月の投稿のとき、排泄のことで「成功率」や「コントロール」という言葉があったので少し気になっていました。
排泄場所は成功や失敗というふうにとらえてはいけないし、排泄リズムは無理にコントロールしていいものではありません(お仕事前に排泄を済ます盲導犬などは別として)。
決まったトイレで排泄なんていうのはイヌという生き物にはありえないこと。イヌの本能をねじ曲げて、飼う側の都合でそうしてもらえると助かるからトイレを使ってほしい、それが出発点です。
「本当はいやでしょうが、すみませんがここで排泄お願いします」の気持ちで、うんちやおしっこを誉め、排泄中の犬に笑顔で「いい子いい子」と声をかけてあげてください。これを一生続ければ排泄に関係する病気の予防になると同時に、入院したときや老犬になって足腰が弱ったときにも犬自身が排泄のことで苦しまなくなります。

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