獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201111-4

Re:愛犬の突然死・・・獣医選びの大切さ
投稿日 2011年11月5日(土)10時49分 投稿者 チーママ

アナちゃんママさん 
突然の家族の死に、どんなにかショックを受けられているでしょう。昨日までそこにいた子がいない事は、計り知れない喪失感ですね。これが少しでも看病できていれば、あきらめもし、心の準備もできたでしょうに、突然奪い去られたように思えて、ああっだったら、こうだったらと「もし…だったら」と考えて心騒ぐばかりでしょう。本当の原因が分からぬままでは、いくらでも疑問がわいてきて、苦しくなるばかりだと思います。
でも飼い主として、愛情注いて出来る限りの事をしてきているのですから、亡くなった愛犬さんも本当に幸せな子だったと思いますよ。

私もこよなく愛しく思っていた愛兎を突然死(半日もしませんでした)された時は、その
喪失感に茫然としたものです。なぜ死んでしまったのか。防ぐことはできなかったのか。
他に手立てがなかったのか。何か飼い方が悪かったのかと考えるばかり。
特に主治医に連絡した時には「その状態ではこちらまでもたない。近くのところへ緊急でいきなさい」と言う指示で、近くのウサギを良く診る病院へ行っての事でしたので、もし主治医ならという思いもお恥ずかしいながら捨てきれませんでした。 それを振り切るにはどうしたら良いのか。
それはもう剖検しかありません。時間がたつほどに死後の状態が進み分からなくなりますので、体を冷やしてすぐに主治医に持ち込みました。(状態が尋常でない事は理解していましたので、亡くなるまで病院で付き添っていました。)
主治医も「死後すぐでも死因ははっきりしない事が多いです」とおっしゃいましたが「まだもう一人いますので、同じように飼っていて大丈夫かと言う問題もありますので」とお願いしました。
剖検の結果「胃破裂」だという事が分かりました。その前日ソファに飛び乗り損ねて、お腹を打ったのを記憶していましたので、おそらくその時かと。2cmほどの裂け目が下側にあったので、内臓の重みで傷はすぐには開かず、徐々に胃液や血液がしみだして行ったのでしょう。おそらく生きているうちにどんな検査をしても見つからず、見つかった時には明らかに手遅れだったでしょう。ウサギの胃破裂の症例報告も数例(動物園含む)しかないので、症状から胃破裂を疑う事は出来なかったと思います。
深夜の病院で死因が分かって、私ども家族も先生方も、なぜかホッとした空気が流れ、室内が明るく優しくなった気がしたのを鮮明に覚えています。「胃破裂は交通事故のようなものです。これで助かるうさぎさんはいません。」という言葉も、納得でした。
誰が悪いのでもない。誰にもどうしようもなかった。その事に、関係者全員が安堵したのです。だた私は「あの時いつも通りに下にラグがあったら、足を滑らすこともなかっただろう」と、ひそかな後悔の念はありますが。
もし剖検をしなかったなら胃破裂など思いもつかず、他にそれらしき原因を考えて「もしあの先生がこういう事をして下さっていたら」などと心では思っていたかもしれません。最後を看取ってくださった先生も、「食滞(うさぎに良くある病気)で、体力がもたなかった」としか言えませんでしたもの。食滞なら、ああもこうもと手立てを考えてしまいます。「もし…ならば」の世界に落ちて悶々とし、密かに人を恨みもしたかもしれません。
最後を看取ってくださった先生にも、今後のお役にたつこともあろうかと報告をいたしました。

この掲示板では、時々突然の家族の死に苦しんでいる方の投稿もございます。苦しんでいる方のほとんどが、剖検をなさっていないので正確なところが分からないまま、ああではないかこうではないかと苦しみを長引かせておられます。それを拝見するたびに「もっと剖検することが認知されれば良いのに」と思います。剖検と言っても段階は様々で、よほど難しいものでもなければきれいなままに体は帰ってまいります。亡くなった子にメスを入れるという勇気はなかなか持てないものですけれど、もし過ちがあるなら、それを繰り返さない為に、飼い主にも病院にも必用な事だとご理解いただきたいと願っています。

一方、病院の先生方にもお願いしたい事があります。亡くなった経緯や死因の正確なところが分からなくても、出来る限りの説明とお悔やみと慰めを飼い主さんにしてあげてください。誰もが言葉上手にとはいかないでしょうが、話ベタだからとか、死因が確定できないものを説明のしようがないとか、セオリー通りにきちんとやったんだからと思われても、飼い主さんの心の苦しみを少しでも減らすことも治療のうちだと思います。
特に一見さんや急な持ち込みの時は何とも説明のしようもないでしょうけれど、死を共に悲しみ、人を慰める気持ちは伝わるものです。治療と同様、死に対してもきちんとしたインフォームドコンセントを努めていただきたいと願います。
前述のうさぎの場合、「肺も心臓も腸も大変きれいでした。胃の中に毛球はなく、とても沢山良い状態の内容物が詰まっていまいた。直前までおいしいものを沢山食べていたんですね。それだけは、よかったよかった。」と言ってくださった言葉に、「あの子は幸せだったんだ」と思えてどれほど心慰められたか。世話の仕方は間違ってはいないんだと、救われた思いでした。獣医師の言葉は、それほど影響力があるものだと思っています。

アナさんママさんの心がゆっくりでも癒され、悲しい思いが暖かい思い出に満たされますように。愛犬さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。