意見交換掲示板過去発言No.0000-201312-116
Re2:胆のうが破裂 |
投稿日 2013年9月24日(火)10時43分 投稿者 プロキオン
いささか唐突な質問の為され方をしていますので、経緯がまったく分かりませんが、おそらくは胆嚢炎・胆管炎というような背景があってのことではないかと想像しています。 >胆のうが破裂して死にいたるまでの日数は何日ぐらいですか? これは多くの臨床医においては、回答不能と言うべきものではないでしょうか。 なんとなれば、胆嚢が破裂するという事態にまず遭遇しないでしょうし、実際にそのような事態が発生したとして、「いつ、破裂した」という事の把握が困難ですから、そこからの経過時間というのは、不正確とならざるをえませんし、また、何もしないでそのまま見ているだけということもないと考えられます。 従前より、腫大した胆嚢を把握していて、毎日定時に経過観察をしているというような管理下にある症例でないとはっきりとした数値では答えられないように思います。 また、そのような管理下の症例においても、一般的に考えられるのはそうなる以前に外科手術によって、胆汁や胆泥のウッ滞を解除する処置がとられるのが普通だと思います。 人間の方の症例でも、胆石の手術などで胆嚢や胆管を切除することが一般的に実施されますが、このような際に術部の癒合不全があったりして、胆汁の漏出が生じたりしても、排液用のドレナージがしっかりとできていれば、直ちにどうのこうのという急激な転機をとることはないようです( もっとも、そのまま放置したままというわけにもいきませんが。) 動物は工業的に生産されたものではないので、老若・雌雄・栄養状態・合併症の有無等によって経過はさまざまであり、同じ疾病であっても異なった経過をとるわけであって、死に至る経過もさまざまになると思われます。 大雑把な時間での把握といっても、街の臨床医の段階では、一からげにしようがないような症例ではないでしょうか。 >胆のうが破裂はエコー検査で簡単にわかりますか。 これは、エコーの機種と診断する者の技量によると思われます。 先の質問とも重なる部分がありますが、毎日、エコーで同一の症例の肝臓や胆嚢を描出していれば、「今日は確認できない」と気づくことはできるかもしれませんが、初めて患者を診る人という事になりますと、自信をもって「ない」と言うのには躊躇いがでてしまうかもしれません。 「存在しない」ということを証明するのは、いささか面倒なことになりますので。 ちょっと例が異なりますが、私の友人の病院で避妊手術の猫のお腹を開腹したところ、子宮も卵巣も存在しておらず、近所の病院の先生にわざわざ来ていただいたうえで、2人の獣医師でお腹の中を探しても見つかりませんでしたと依頼者に報告したそうです。 実は、私の病院でも同じ事があって、近所の先生に証人になってもらおうと電話したことがありますが、そのときは、そちらの先生も手術中で手が放せなかったので、「ない」ことの証人をたてることができませんでした。 実際に、自分の目で「ない」のを見ていても、「見落とし」ではないこと証明ということまで考えると、慎重になってしまうことはあるように思います。 >胆のうが破裂した場合 血液検査のどの値の数値が変わってきますか? 「肝パネル」と呼ばれる検査項目が、該当するはずですが、胆汁のウッ滞という時点でそれらの項目のうちのいくつかはすでに上昇していると考えられます。 どの程度の上昇になるかということになると思われますが、そのような状態であれば、血液検査よりも、むしろ一般的な臨床徴候の方に異常が出ているのではないでしょうか? 私が想像するに、胆嚢炎や胆汁ウッ滞があると診断されて、その説明の中で「胆嚢破裂」という事態の説明があって、不安に駆られての質問に繋がったのではないかと。 そこまでの段階の患者さんというのは、それなりの数は存在していると思われますが、逆に「胆嚢破裂」はあまり見聞きしておりません。 なんとなれば、かかる事態がおきないように、治療するわけですし、外科手術の適応となれば、「破裂」ということがなくなるわけですから。 ですから、「破裂」した後のことを明確に答えることのできる臨床医というのも あまりいないということになるわけです。
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