獣医師広報板ニュース

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Re:猫の耳下腺癌
投稿日 2013年12月19日(木)09時11分 投稿者 ムクムク 

白い巨塔というテレビドラマで主人公の財前五郎が病床からナースステーションで自分のカルテやレントゲンを確認するというシーンがありました。
彼にはガン告知がなされておらず、カルテもレントゲンも健康な人のものでした。
そのように、数十年前の医療では本人には病気の説明は行われず、当然治療方針について医師と患者の話し合いは無かったといえます。
現在ですが、インフォームコンセントが重視されています。
これは、病状を説明し、治療方針を納得してもらうと言うことです。
獣医の領域でも、病状を説明して、治療方針を飼い主さんに決めてもらうことになります。
私は、獣医師一人の動物病院で開業していますので、診療の範囲はどうしても限られてきます。
で、よく飼い主さんに相談します。
うちでは抗がん剤や放射線療法などは出来ないので、飼い主さんが希望されるようなら高度医療が出来る病院を紹介させていただきますと。
この場合に、病気と積極的に闘うことのメリットとデメリットを私なりに説明することになるのですが、動物と残り少ない日々を家庭で痛みなどをコントロールしながら生きることのメリットも説明します。
その上で、飼い主さんたちは、積極的な医療を選択したり、家庭での見守りを選んだりするわけです。
さて本題のはなさんの相談なのですが、「顔半分くらい切り取って、放射線のたびに麻酔して」ですので、猫にとっても、また飼い主さんにとっても辛い医療になると思います。
そうすれば100%完治し、また元気に家庭に戻れるのなら、私としては費用もかかりますが可能であるのなら受けさせてあげたらとするところです。
完治の可能性については主治医の先生によくご相談ください。
ガンの場合、完治ではなく押さえ込むような治療になることが少なくありません。
そのような場合、再発部に対して、また治療を繰り返すことになります。
つまり、猫に対して、かなりの医療的ストレスの継続が想像されます。
これからは獣医としてではなく、一人の猫好きな男として自分の猫ならこうすると言うことを書きます。
私の猫なら「顔半分くらい切り取って、放射線のたびに麻酔して」の治療は断り、家庭に生活させ、苦痛を和らげ、最期まで一定の食欲を維持できるような方法がないか相談します。
つまり、猫にストレスをかけず、亡くなるとしても私の膝の上で亡くならせたい。
一人の猫好きとしては、そのような状況で判断を迫られたら、そうします。

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