意見交換掲示板過去発言No.0000-201401-195
Re6:ノラネコの耳カット |
投稿日 2014年7月18日(金)19時36分 投稿者 プロキオン
>おちびさんへ 野良猫の耳介切除については、問題点をご存知のようですね。 安全ということが最優先であれば、これはマイクロチップの方が優れていると思います。マイクロチップを否定される方というのは、どうしても費用の事を持ち出されてきますが、安全を観点に論じるのであれば、費用をもってこれを否定されるのはいかがかと思います。 避妊去勢の実施頭数を誇るのではなく、猫達により安全である事をもとめることの方が私には納得できることです。 もっともそのマイクロチップにしても、それはそれで別の問題があることは承知済みですが。 首輪については、口にかかってしまうという事故は、私から言わせれば単に装着方法を誤っているのに過ぎません。きつかったら可愛そうという理由からがそのほとんどですから、こちらも安全という観点を置き去りにしての装着がその理由です。 >またネコの耳を切るならお前の耳を切ってやる!と怒鳴られたこともあります。 色々な意見・思いがあるとは思いますが、そういう人の中には 自分では手術はせず餌だけ与え、保護も治療もしないし、 お書きになられているように野良猫がそこに暮らしていることに対しての反発があることを承知されているわけですから、ある意味、私が述べている耳介が切除されている猫達に加害及ぶ危惧というのも御理解いただけるのではないかと思います。 元々、耳を切るというのは、鹿・猪・キツネ等の害獣駆除の際にこれらを駆除した証拠として切除した耳を自治体に持参して報奨金を貰ってくるのと発想を同じくしているように思えてなりません。この意見には当然納得していただけないでしょうが、実際、世の中には不妊去勢手術への助成金が出るので不自然に実施頭数を多く計画している団体もあります。それが団体の力を誇示するかのように見えて、私には不快にしか感じません。 私には実施頭数よりも、猫自身の安全や人間同士のトラブルにまきこまないで欲しいという思いの方がはるかに強いですし、そのような事に巻き込まれたくもないし、復元不能の傷を負わせたくもありません。 なによりも、元に戻すことができない傷というのには、かなりの抵抗があります。 安楽死問題とおなじく、そんなにやりたければ自分の手でやってくれという気持ちですね。 むろん、おちびさんは申し訳ないと思いながらとのことが記載されていますが、耳介を切除するというのは、別に獣医師でなくても切れる鋏であれば、なにもむずかしいことではありません。安楽死の議論の際には獣医師ではないHさんという方が鉞で頭部へ一撃が苦しませることのない安楽死であるという持論を展開されていました。そう、一見残酷に代名詞のようなギロチンさえも、本来は苦しませずに一瞬に死なせることができる方法として登場しています。非難されがちな「と畜場」における方法も、充分に考えて改良されて行きついた方法です。 それでも、それをやっている立場の人間は批判されてしまうものです。最初の投稿が獣医師に耳を切ってもらえなかったから、他に方法はないのかという質問の形だったはずでしたので、私はマイクロチップや首輪を意見として提唱したのですが、耳を切除を是とされる方というのは、どういうわけか最初から耳の切除ありきで、他の方法を否定してきます。 一度、自分自身で猫の耳を切除してみてから、その方法が最善の方法なのかを自らに問いかけてみてはどうかとさえ私は思います。 団地の猫が子猫を産んだといっては、その都度子猫をもちこまれたり、野良猫が台所へ入ってきては食べ物を盗んでいくからつかまえてくれとか、動物病院になんとかしろと言ってくる人達はこのあたりでは珍しいことではありません。 飼い猫であっても首輪はしていませんし、餌を給餌しているのに野良猫だと言って料金を安くと要求するのも普通のことです。 本当に必要なのは、きちんと飼い猫として管理する事であって、当然のように3軒先に行って野良猫とみなされてしまうことではありません。猫は体に何かを付けられるのを嫌いますから、首輪だって子猫のうちから慣らしておかないとなりません。それでも、そうやって飼い主いることを世間に訴えて、猫をまもってあげなくてはなりません。 可愛そうという理由で中途半端なことをしていては、猫をまもることにはなりません。耳を切られた野良猫ということで、公園で暮らすことよりも、1頭でも多く家庭に迎えられていくことこそが目的とされるべきです。 公園で暮らす猫というのは、大抵が定員というものがあります。公園の広さであり、隠れやすい場所の数であり、給餌されている餌の量等がその原因となります。では、給餌量を増やせばよいのかと言えば、それでも定員はたいして変わりません。力の弱い猫、力の衰えた猫から姿を消していきます。 極論を言えば、避妊去勢の実施が定員を決めているわけではなく、その場所が受容できる猫の数があると言えます。1頭でも多く猫を幸せにしたいのであれば、1頭でも多く家庭に迎えいれることこそがその方法と言えます。 理想論と言われるかもしれませんが、私の知っている方は50頭の猫を飼育していますし、別の方は3軒の家を借りて猫を飼育していますし、その方1人の猫ですでに40頭超える避妊去勢手術をしています。どちらの方も生活のほとんどを猫に注ぎ込んでおられて、むしろやりすぎだと止めなくてはならないところまで行っています。これはこれでまた別の問題がありますよね。 話しを戻しますが、そもそも、給餌している人間がいる、そこでは避妊手術まで実施しているとなれば、わざわざ捨てに来る人もでてきかねないわけです。そして、そのような状況下では公園で多くの猫を養っているということから、公園から猫を追い出そうとして加害行為の対象ともなるわけです。 耳の切除を是とされる方は、よく「仕方が無い」とか「最適」と口にされますが、猫自身を傷つける方法が「最適」であるはずがありません。「仕方が無い」というのは、他に方法がないという理由なのですが、それは人間の都合でしかありません。 実際、これぞという最適な方法など簡単に見つかるとも思えませんが、「修復不能な傷を負わせたくない」という理由がなぜ否定されなくてはならないのかが、私には理解できません。耳を切除された猫が幸せに見えるということがあってよいわけがありません。同時に耳を切除された猫が虐待の対象になってしまうという現実もあってよいわけではありません。 最初から耳の切除を是としてしまっていたら、それ以上のものが出てくるはずがありません。試行錯誤は続けられなくてはならないのではないかと思います。 猫が耳を切って欲しいとは言っていないと私は思うのですよね。
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