意見交換掲示板過去発言No.0000-201501-263
Re:獣医科大学新設。 |
投稿日 2015年12月19日(土)10時49分 投稿者 プロキオン
四国・京都・倉敷の3か所については従来から、獣医学科を有する大学の設置が何度も要望されてきましたね。中でも、四国には獣医学科を有する大学がないところから、教育特区を利用しての熱心な誘致活動があると耳にしています。 けれども、今の教育水準を満たすということだけでも大変なように考えれられます。国際的な水準を満たすためにも教員の不足は深刻的であって、20年以上も前から国立大学の大学院統合の構想は始まっていました。県はもとより、九州と本州を結んで1つの大学院とするような話ですから、教職員だけでなく学ぶ側の負担にも少なからぬものがあります。 文部科学省にしても、この点においてだけでも簡単なことではないと考えているようです。 また、臨床の立場から言えば、大動物診療に携わる獣医師の増加は望まれているものの、畜産や酪農に従事する農家そのものの減少を考えれば、今の獣医学生が自らの将来をそちらにかけてくれるかと言えば、悲観的にならざるを得ません。 私たち小動物診療にしても、つい先日発表された報道でも10年後には3割の動物病院が廃業に追い込まれると予想されており、心中おだやかならざるものがあります。 生き残ることができるのは資本力をもった企業動物病院が中心となるのかもしれませんが、そこはそれ収益をあげてこそとなりますから、個々の獣医師が考える獣医療とは乖離が生じてくることは避けられないことのように思われます。是非もないことと割り切ってサラリーマンに徹することができる人間性でないと。 もっとも、こんなことを言ってしまうと、今現在勤務医として働いている先生方や製薬会社勤務の獣医師の方々からはクレームが届きそうですが。 まあ、ここで私が言いたいのは、現状のままであっても、動物病院を維持していくことが難しくなっており、独立開業への道が険しくなっているのにもかかわらず、さらに学生数が増えるのであれば、今から大学受験が控えている者たちは、よくよく考えておかないと大学卒業してからかなり厳しい現実が待ち構えていることになるのでしょうね。 社会で獣医師が求められている職場は、かなり広い分野であり、公務員や会社員としてであれば、求人はそこそこあるはずなのですが、そのような場で獣医師不足が生じているのであれば、それは大学を増やすということが解決策ではありません。 その場合、社会体制や職場における待遇改善が必要なのではないでしょうか? この点において私はムクムク先生のおっしゃられていることに そのまま賛同です。 獣医師志望の高校生や中学生なら、まず小動物診療が希望でしょうし、大学の数が増えるのは良いことと受け止めると思われます。ですから、いざ、社会に出るという段になってから、直面することになるわけで、それはいささか気の毒に思います。
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