獣医師広報板ニュース

災害と動物掲示板過去発言No.0700-201104-25

Re2:被災地から動物を連れ去らないで(とくに原発周辺)
投稿日 2011年4月4日(月)15時52分 投稿者 プロキオン

現在、行政から原子力発電所周辺のペットについても連れ出さないでのマスコミを介しての告知が出ています。私は、その理由の1つについて述べているにすぎません。
理想論を語っているのでもなく、小細工無しの直球の意見を言っているだけです。駆け引きとか何かではなく、批判に耐ええるレスキューとするには、まっさきにやら無くてはならない事を述べています。
獣医師の仕事は、動物を介しての人間生活への寄与です。人間がなによりも優先されますし、動物至上主義はとっておりません。
16年前の阪神淡路の大震災の際に被災者達への配慮があったからこそ、その後の雲仙、有珠山、三宅島、新潟等、ペットを連れての避難に理解が進んできているのです。ここへ来て、被災者が後回しとなるようなら、今までの活動を損なうものですし、それがあってはならないと危惧しています。

また、koyさんの貼られたURLはすでにリンク切れの状態のようです。私自身が先日まで、獣医師広報板のあちこちで、漏出している放射線は微量であって、直ちに健康に害を及ぼすことはありませんと発言してきています。
でも、他のタイトルでも書いていますように、プルトニウムが検出されたら、やはり気にかける必要はないでは済ますことはできません。リンク先の先生にしても、発言の修正の必要性は感じらるのではないでしょうか? プルトニウム以前の発言をもって言質とされてしまっても、お気の毒なように思います。

sei-vet先生が触れておられる「20KM」という数字は、卓見であると思います。過去の事故例を鑑みれば、直線距離であれば、目安となりえる数字ではないかと私も同様に考えます。
でも、実際に現場に入ってみれば、地面は平坦ではないし、瓦礫もあることでしょうし、直線でも20KMの把握は容易ではないはずです。公表されている放射性同位元素の飛散状況も直線とはいってないようです。放射線測定器をもたない者が、どこまでが安全であるかを知る術はないはずです。公表されている地図を見る限り、それ以遠にも飛散している可能性は考慮されなくてはなりません。
外部被ばくだけであれば、体表の測定だけでよいのかもしれませんが、他のレスでも書いていますが、それだけでは安全の保証にはなりません。被災者の体に放射性同位元素が付着していないかについても、安全証明証の提出が要求されるくらいです。動物についても誰からも信用していただく事ができる組織団体がこれを担う必要はあると思います。


翻って、私自身もこの掲示板における私の意見が、原発周辺から犬を連れ出そうとする者達を止める事ができるとは思っていません。それぞれの考えがあって行っている事でしょうし、どの団体は良い、この人物は駄目などと区別していることができようはずがありません。
しかし、黙っていて良い事だとは思いません。冷静に考えれば考えるほど止めて頂きたいと思います。
健康に直ちに害及ぼす事は無いであろうという線量のホウレンソウでも拒否されています。新たな飼い主探しとなった時に、福島の原発周囲の犬であると正直に申告していただけるのでしょうか? 連れ出してきた方達が生涯自宅で飼育してくれたとしても、放射性同位元素を排出しつづけているとしたら、自分1人だけの責任では済みません。
他のスレの繰り返しになりますが、福島だけに犬がいるわけではありません。保護先が偽られているのではないかと考える人が出てくれば、これは見過ごすわけにはいかない問題とならざるをえないのです。今、言わなくてはならないことなのです。

私は、決して理想論を述べているわけではありません。なにが優先されなくてはならないかを憂慮しているだけですし、方法論としても広く安心して動物達が受け入れてもらえる方法を述べているのです。動物救護について非難をあびないための現実的な考えとして述べています。
連れ出した、今は生きている、であってよいのではありません。安心して動物と暮らすことができる救護でないとならないのです。獣医師が先々のことを考えないでよいわけがありません。
「盲目、蛇に怖じず」という言葉があります。手を出そうとしている蛇がシマヘビなら噛まれても痛いくらいですみますが、マムシに手を出そうとしていたのなら、これは即座に止めないとなりません。今の状況とすれば、その蛇が危険の蛇なのかどうかが分からない状態と言えます。分からないのであれば、傍にいる者として、ちょっと止めて置いた方が良いですよと声をかけなくてはなりません。

今、福島第一原子力発電所で起きていることは、予想以上に深刻なようです。IAEAや各国が日本に求めている報告は、かなり踏み込んだもののようです。
原発から何がどのくらい、どの地域に放出されているのかが、あきらかにならないとなりません。太陽が昇っていても、暗闇を手探りで歩いているのとなんら変りがありません。
慎重であって欲しいと思いますし、思慮ある行動をとるべきだと思います。
かかる状況下において、警告の声を上げないとすれば、その方がどうかしているでしょうし、私が風評をおこすわけではありません、すでに新聞に掲載されている注意喚起と同じものなのです。風評がおきるとすれば、原発周辺から犬が連れ出されているという事実に由来します。私は、そのような風評も防ぎたいのです。

異論反論は、それぞれあることでしょうが、少なくともこちらの掲示板に意見をよせてくださった方は、警告の声が上がっていた事を認識してくださっているわけです。私も、私の声がどの程度届いているのかという不安はあるのです。
反対意見であっても、声が届いている人がいるということが実感できるだけ、よかったと感じています。

明日から、また3日連続で狂犬病集合注射で留守にしなくてはならないのですが、まったく準備ができていません。それでも、私の考えを書いておきたかったです。

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