獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-201012-80

Re:X線の悪影響について
投稿日 2010年9月18日(土)23時25分 投稿者 けりーずはうす

パールちゃんがおっしゃるように、薬に対する影響をお知りになりたいのであれば体重の情報は大切ですね。

交配後30日前後の放射線照射というのは、極力避けるべきであるとはいえます。
しかし、繰り返しではなく単発のことで終了しているようですから、さほど問題になる線量を浴びているとは思えません。
人の場合でも、「ガンなどの放射線治療の場合を除き、診断のために行った放射線検査によって胎児に障害がおこることはありません」と明記されております。
この場合は、CT検査も含まれるようですから、今回のようなケースも問題ないとみていいはずですね。

次に、シンクルという抗生物質についてですが、これは「セファレキシン」という薬品名になります。
これを調べますとアメリカのFDA薬剤胎児危険度分類基準ではランクBに分類されるようです。
ランクBとは、「動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(または出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠期3ヵ月の対照試験では実証されていない、またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの。」ということになります。
また、別の資料では妊娠初期にこの薬の投与による影響があるなら、すでに流産を起こしているはずだ、と書かれているものもありました。
チョッパーさんの犬さんの場合、その後の経過で妊娠が維持されているようですから、胎児への影響の可能性は低いとしていいのではないでしょうか。

またレントゲン照射と抗生物質投与による催奇形性の可能性も大変低いと考えてもいいと思います。
後は、生まれ出てみなければわかりません。
しかし、例えば純血種同士の繁殖は、いつでも奇形や先天的疾患が出る可能性を考えなければなりません。
この場合は投薬などの影響よりは高い確率で現れる可能性があることを十分に理解いただかなくてはなりません。

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