獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201011-35

Re:プロキオン先生、とら様
投稿日 2010年11月13日(土)12時55分 投稿者 プロキオン

>プロキオン先生によりますと、
オスは発情がないのだそうですね。 野良オスがよくすごい鳴き声で、うちのメス猫に
アピールしにくる時期はいわゆる「サカリ」ではないのですか?

私は、「雄には発情がない」と書いたのではなく、「雄には発情期がない」と書いたはずですよ(^_^)
これは、似ているようでも「期」の1文字は大きいですね。特定の季節で発情するということではなく、発情した雌猫がいれば、いつでもOKということで「発情期」が存在していないということなのです。
猫は交尾排卵動物であって、交尾の刺激によって排卵が起きます。つまり、雌猫と出会ってその時にOKでないと、雄も自分の子供を残すチャンスを逃してしまいます。本来は、子育てをするのに都合の良い季節がありますから、そこから逆算するようにして、雌猫の発情は起きることが自然の摂理なのですが、昨今は、その季節性が雌猫においてもどうもあいまいになってきていて、よほどの寒い季節でないかぎり、子猫の姿を見ることができてしまうようです。これも人間がかかわってのことと言えます。
俳句の季語に「フケ猫」「タケ猫」とかがあって、俗に言う「節分猫」のことです。この言葉自体が発情して盛んに鳴き声をあげて徘徊している猫の事を言っています。まず、雌猫に発情が来て、それを関知した雄猫が誘いをかけて呼ぶことに由来しています。当然ながら雌猫の方も同じように鳴きますよ。交尾の相手を選ぶ選択権が雌猫にありますので、雄猫がより一層必死にならざるをえないということに過ぎません。
雄猫を呼び集めておいて、その中の一番強い雄の遺伝子を残そうとするのが、雌猫の選択基準です。それ故、雄猫も生傷が絶えず、この傷から病気に感染したり、餌を食べずにいたり、交通事故にまきこまれたりで、命がけの日々を過ごすことになります。

そういう事情がありますから、雄猫も雌猫の発情期以外にも考えていることがあって、縄張りや御近所にいる雄猫を常に気にかけています。雄猫も子猫のうちは見逃してもらえていますが、成長とともに大人の雄猫のプレッシャーを受けるようになります。つまり、雌猫の発情期にならなくても攻撃されたり、縄張りから追い出されたりするようになるわけです。
これが若い雄をまちうけている受難です。
一方、飼い猫となっていて、しかも室内飼の雄子猫ですと、これらの厳しい現実に遭遇しないですむこととなります。飼い猫と野良猫の寿命に10年近いひらきがあるのは、決して偶然ではありません。

ですから、先住猫が避妊手術されている雌猫であれば、雄子猫も発情する必要がありませんし、体がちゃんと成長して大人の体としてできあがるのをまってからの去勢でよいといことになります。未成熟のうちに去勢してしまってきちんとした体にならないまま大人になる事を避ける事ができることになります。
また、雌が避妊されていれば、近所から大人の雄猫がやってきて、子猫が目の敵されなくてすむことにもなります。猫の繁殖ついては、雌猫を中心に考えを進めた方がなにかにつけて合理的なようですよ。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。