獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201012-9

Re3:プロキオン様。
投稿日 2010年12月16日(木)11時13分 投稿者 プロキオン

>それは、人間でいうところの強陽性と捉えて良いのでしょうか?

とらさんが、どのような意味で「強陽性」という言葉を使われているかにもよりますが、一部あたっているようでもあり、ニュアンス的に異なるようでもありというところですね。
豚丹毒のワクチンでしたら、「善感反応」という言葉がありまして、一見するとまるで「皮膚型豚丹毒」が発病したかのように菱形の発疹が形成されてしまっているのに、豚はまるっきり元気という反応があります。これは、ワクチンの接種部位でワクチン抗原が増殖していて、通常のケースよりも強くかつ長い免疫が得られるということで、副作用というよりも、かえって都合のよい反応として捉えられていて、このような呼称となっています。
また、鳩においてニューカッスル病の不活化ワクチンを接種した際にも、接種部位に硬結が生じることがあります。これはワクチン中にアジュバントという炎症を強くするための添加物が入っていることに基因していますが、ワクチン接種部位に、やはり抗原が長く留まって抗体産生を促すためなので、免疫獲得のためには良い現象と言えます。
ただし、レース鳩で筋肉に硬結が生じてしまうことは、望ましいことではないので、この現象を承知している者は、ワクチンの接種部位を考慮することになります。この硬結も知らなければ、ただの副作用としか理解されませんし、揉んで早く散らそうとするむきもありますが、この場合は揉まない方が良いとされているくらいです。

これらの反応は、生体側の免疫を担う細胞が防波堤のような組織を形成して、抗原をそこに封じ込めて戦っているために起こり得ます。つまり、それだけ免疫側の細胞が活躍しているということになりますが、これがややバランスを失して過剰にまでいきますと、アレルギーに近い反応ということにもなりかねません。
ですから、発熱や硬結がたびたび出現して負担となるようであれば、一度ワクチンの銘柄を変更してみて、様子をみることになります。
仮に、どのワクチンにおいても同じような状況であれば、それはその個体の体質ということになりますので、ワクチンの接種間隔を長くとるか、さらには、ワクチンを接種しないという選択肢も考えなくてはなりません。
硬結のような反応ですと、ワクチン成分は、その接種部位に留まっていることになるのでしょうから、むしろ急性な副作用は起き難いというように解釈されますが、あとは、どのくらい期間、その硬結が残るのかということになります。すぐに消退するようであれば、とくに問題とはならないでしょう。

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