獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201102-17

Re:猫が噛んで困っています
投稿日 2011年1月22日(土)12時01分 投稿者 プロキオン

>リードをつけて一日一時間散歩をするのですが、好戦的な子で、他の猫を探しては喧嘩しようとします

これは、猫という動物にとっては、するべき事ではないのではないでしょうか?
嫌なことを わざわざされているように思います。

>叱って叩いたりしないから、甘えが生じて暴力がエスカレートしたのかとも思いますが

ここも大きな勘違いをされています。

>小さいころにしつけなければならない、大きくなってからしつけてもダメだと聞きます。5歳の今、噛んだ直後、叩いてしつけていいのか悩んでいます
どういった対策をとればいいでしょうか?


猫には、そのような躾けは入りません。猫が自分で考えたことを実行しているだけです。今から、叩いたりしたのであれば、かえって逆効果に終わるのではないかと思います。たぶん、それは私だけの意見ではないはずです。
仮に相手が猫でなく、ライオンや虎であったとしたら、叩いて躾けたりしようと考えるでしょうか? 考えるまでも無いと思います。猫は体重が5キロであろうと6キロであろうと猛獣と同じなのですから。

サーカスのライオンや虎は叩いたり殴ったりとしていたら、決して調教することはできません。芸の中で、反抗するような態度を見せたりもしますが、あそこまでを含めての演技であり、調教の結果と言えます。本来は、指を鳴らしたり、口笛でも合図としては同じなのですが、ライオンや虎が相手となると、鞭の音で合図をしています。
あの鞭は決して猛獣を威嚇するためではありません、まして、鞭で叩くためではありません。叩いてしまったら、収拾がつかなくなりますね。
あの鞭の音は、人間の意志を伝えるためにあります。「ヨシ」であり、ひとつのステップから次のステップに進めであり、「マテ」であり、「ダメ」でもあるのです。鳴らし方や音にこめる気迫の使い分けであって、特に「ダメ」を出すときに、込める気迫がライオンや虎を押さえ込めるだけのものが必要だから、それだけの音を出す事のできる道具として用いていることになります。

昨年末に「獣医ドリトル」というテレビドラマが放映されましたが、原作のコミックの方の第2話にちょうど人間を咬む凶暴なペルシャ猫の挿話があります。
原則的には凶暴な猫を治療する方法はないとしていますが、主人公が猫の飼い主に要求した治療金額は5万円ですが、そのお金には条件がついていました。その条件というのが、お話の肝心な部分とも言えます。アルファとかパーリアとか言う単語がキーワードになります。
とくに宣伝するわけではありませんが、「獣医はビジネス」が口癖で、金に汚く飼い主に厳しい悪徳(?)な凄腕獣医師のお話も読んでみれば参考になるかましれません。小学館発行のコミックスで第1巻に収録されています。

私も「動物よくある相談」の方で、うまく矯正できない原因に少し触れておりますが、「獣医ドリトル」の中でも、同じ点に原因があるとしているようです。猫に対しての治療法はなくても、飼い主に厳しい獣医師であれば、対処法はあるのかもしれません。猫に「ノー」を教える方法があるかないか、コミックを御一読願うのもよいかもしれません。ただ、読んで同じ方法をとっても、おそらくは失敗するかもしれません。それは、猫に対しての話ではない点を理解しないとならないからです。だから、ライオンや虎の調教のお話をしました。





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