獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201102-2

Re:伯母からの相談です。
投稿日 2011年1月17日(月)10時46分 投稿者 プロキオン

おはようございます、たちうおさん。

まず、あまり深刻に考えないことが第一のポイントだと思います。飼い主の不安や当該猫に対するストレスというのは態度に出ますから、悪循環の原因となって、そもそもの最初の猫のストレスの原因を覆い隠してしまうことになって、問題解決の妨げとなりかねませんから。

過去スレを読んでいただければ分かりますように、猫の不適切な排尿という行為に対しては、私も苦慮しているところであって、上手な解決方法を持ち合わせておりません。
我が家の場合は、原因はあきらかに多頭飼育です。自分だけの空間や近づいて欲しくない猫がいれば、不適切な排尿は簡単に引き起こされます。
たちうおさんの記載文中に原因をもとめるのであれば、まず飼育者である娘さんがいなくなってしまったこと、お母さんとの関係が娘さんに及ばなかったこと、そして、雌猫をみてしまったこと、ということになります。去勢さえしてしまえば、猫がいわゆるスプレー行為をしなくなるかというと必ずしも保証の限りではありません。雌猫を力づくでものにしようとか、それに纏わる闘争心は弱くなりますが、こと、縄張りに関しての自己主張というものは、まったく別の領域に支配されています。
不安や緊張に反応しての排尿であれば、去勢とはまったく関連なく、去勢以後も見られます(頻度は減少しますが)。
お話の中にあるように 自由に外へ行く事ができた雄猫であれば、去勢後も縄張りに見知らぬ猫が侵入してくれば、スクランブルをかけたくなるはずです。この場合は、去勢されてしまっていますから、雌猫ではなく侵入猫としか見なされていない事でしょう。
では、自由に外出させてあげて、すき放題に他所の猫にスクランブル発進させてよいかというと、そうでもありません。それでは、きりがないからです。むしろ、外部の猫の姿や臭いを一切関知させないことの方がコントロールとしては可能性が高いです。

おそらく、当該猫は外へ出たくてたまらないはずですから、それがストレスになっているのではないかと考えられますが、家の中こそがもっとも大事な縄張りであるという認識が必要ですし、それには家の中がもっとも快適でないとなりません。
我が家で一番スプレー行為をする去勢雄のブチ猫がおりますが、この猫は常に脱走の機会を狙っていて、複数回脱走しています。が、しかし、一度、大変な辛い目にあっており、多少の学習はしたようで、今では、玄関のドアが開いても脱走しようとしません。年長猫と年下猫達との間にはさまれて居場所がなかったということになりますが、新入りが増えてきたら、自分の居場所を捜すではなく、今居る場所を渡さないというようになってきました。と同時に、年長猫にもつっかかるようになってきました。それにつれてスプレーの頻度も減少したのですが、東京へ行っている長女が帰省しますと、また、やります。原因は単一ではないという見本のような話ですね。

問題行動としての猫の不適切な排尿ですが、これとつきあっていくのには、飼い主さんが結構な忍耐を求められる事が多いです。
フェイシャルフェロモンが勧められた事もありますし、飼い主さんの臭いを猫につけたりという方もいらっしゃるでしょうし、薬剤を勧める意見もあったりということになりますが、いずれも基本的な考えとしては、当該猫の過度の緊張を和らげてあげるということにつきるようですよ。それを飼い主さんがしてあげないとならないということですね。そこが二つ目のポイントです。

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