獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201104-4

Re2:猫の風邪
投稿日 2011年3月4日(金)11時26分 投稿者 プロキオン

>ワクチンを受けて死ぬケースというのはどれくらいありますか?

御質問は、猫伝染性鼻気管炎・猫カリシウイルス・猫汎白血球減少症の3種混合ワクチンについてのことでしょうか?
生物学的製剤ですから、100%安全ということは、まず無いと考えるべきかと思いますが、安全性試験を経て製造流通が認可されていますので、通常死に至るケースというのは心配なさらなくてもよろしいように思います。

仮に死に至るケースがあるとすれば、猫の側の因子としての急性アナフィラキシーが起きたというケースがもっとも考えうるケースかと思います。このようなケースですと、残念ながら接種してみるまでは予測がつかないと思います。予防できるとすれば、その猫の血統を繁殖に供しないということではないかと思います。
ワクチン接種にまつわる事故というのは、メーカーに報告するようになっていて、メーカーは因果関係をできるかぎり調査したうえで、国に報告しています。国のおける発表というのでも、ここ何年もおめにかかっていないように記憶しております。

私の記憶にあるケースでは、ワクチンを接種したら、汎白血球減少症を発病してしまい、その病気で死亡したとして提訴されたものです。ただ、このケースではこの病気の病原体であるウイルスは生ワクチンではなく、不活化ワクチン(あらかじめウイルスが殺してあるワクチン)を使用していましたので、このワクチンによって発病するわけがないというものでした。おそらく、すでにこの病気に感染している猫に状態を考慮することなく接種してしまい、より負荷をかけてしまって、重篤化させてしまったものと想像されました。
これは、ワクチンが悪いのではなく、接種した獣医師のミスだと考えられます。


>母猫の母乳を飲んでない場合、免疫がなくて?ワクチンで死ぬこともあるとききました。

これはまったくの誤解ですね。初乳による母子免疫を獲得していない子猫こそ、免疫をもっていませんから、ワクチンの必要性は、初乳を飲んでいる子猫よりも必要です。
免疫を持っていないからワクチンで死ぬというのは、ワクチンのウイルスによって発病してしまうからという意味ですよね。ワクチンというのは、そのような子猫においても、発病に至らないという前提でないと安全性試験を通りませんし、認可もありえません。
お話をされた方の恣意的な発言ということはありませんでしょうか?、事実はまったく逆だと思います。


>私の猫は離乳する前に捨てられてたのをもらったので、子猫用の人工ミルクで育てました。
外に出さないようにすればワクチンを受けない方がいいですか?
窓を開けたり人が出入りするだけで病気がうつることもありますか?

外に出さない、室内飼育するということは、猫にとっては望ましいことだと思いますが、それだけでは、ウイルスから遮断することは不可能です。無菌室が必要ですし、餌も水も特殊なものでないとなりませんし、人間も宇宙服のような完全防備でないと猫と接することができなくなります。
上記にあげた3種類の病気は、ひじょうに蔓延しており、自由に外を出歩いている猫であれば、だいたい2歳くらいまでには何らかの形でウイルスと接触することになります。室内飼育の猫でも人間が持ち帰ってきますので、いずれは接触する事になります。一生、ウイルスと接触させずに過ごさせる事ができるかと言うと、かなり難しいことと言えます。

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