鳥類掲示板過去発言No.1700-201808-61
Re5:カルガモのヒナ |
投稿日 2013年6月30日(日)12時25分 投稿者 プロキオン
そうでしたか、残念な結果に終わりましたね。 一応、ことわっておかないとならないのですが、私は必ずしも「野生の鳥獣に決して手を出してはならない」とまでは、考えておりません。 独り立ちに際しても、自然下において100%うまく行っているはずもなく、他の鳥獣に捕食されて餌となって若い生涯を終える個体も、相当な数になるはずです。 また、人間自身にも鳥や獣を捕獲したいという本能にも似た感情がありますし、同時に弱いものに遭遇してしまった場合に、これを助けてやらなくてはというやさしい気持ちもあります。 大局的な観点から考えれば、人間が関わらない方が生存率は、おそらく高いことでしょう。でも、人間が自然界から連れてきてしまった以上は、人間の手で手中の命を守らなくてはなりません。 なんとか、手中の命を守らなくてはというやさしい気持ちが、救護技術を少しづつでも進めて来たのですから。 かくいう私自身も、助ける事ができなかったそれらの命から、学んできたわけですし、少しでも役に立つ知識が欲しくて、獣医師への道に進んでいます。 ですから、カルガモの雛を連れてきてしまった行為が、まるっき無駄だとも考えておりません。 高校生が獣医師を志したとして、大学へ入学して卒業するまでに、ラットやマウスを始めとして鶏・豚・牛・犬等の命が失われる現場に何度となく立ち会わないとなりません。そういう失われていかねばならない命を背負って、学んでいかなくてはならないわけなのです。 やさしい気持ちが救護技術を進めて来たと申しましたが、やさしいだけでは、背負う命の重さに潰されてしまうのです。背負った荷物の重さに耐えて、前に進むことができるだけの強さもまた必要なのです。 「助けるつもりで連れてきたのに、死なれてしまった。だから、悲しい。」では、いけないと思うのです。必ず何かしらの事を命から学びとっていただいてこそだと思います。 ある菓子メーカーのコマーシャルに 「男の子が、スズメの子捕まえた。母さん、それ見て笑ってた。スズメの母さん、それ見てた。お屋根でなかずにそれ見てた。」というセリフがあります。 菓子メーカーが、何故、まったく関連の無いこのようなコマーシャルを放映しているのか、今もって理解できないでいるのですが、誰にでも母親や故郷がある、その故郷の銘菓もお忘れなくということなのでしょう。 男の子に母親がいるように、スズメの子にも母親がいるというメッセージの方が、私にはインパクトが強すぎて、本来のコマーシャルとして奇妙な感じがしているのだと思います。 でも、私は、このコマーシャル好きですね。 男の子とそのお母さんを非難しているわけでもなく、スズメの母さんも泣いていたわけでもなく、それにもかかわらず、伝わってくるものがあります。 スズメの母さんが鳴いていれば、その存在に気が付いて、違う展開もあったのかもしれませんが、鳴いていませんし、泣きもしていません。何が正しいとかこうであらねばならないといううことではなく、きっとその先は自分で考えろということなのでしょうね。
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