動物の愛護掲示板過去発言No.6000-202111-165
Re3:欧米人の考え方。 |
投稿日 2015年3月18日(水)12時17分 投稿者 プロキオン
ひろこさんの投稿の中で、この部分が気になったので。 >ガス室は、安楽死ではありません。苦しみながら窒息して死にます。その事は知っておいてください。 このことはすでに何回か書いているのですが、ガス室処分は戦後駐日英国大使婦人の提案によって日本に導入されました。 その当時は、ガスは一酸化炭素が使用されていました。が、これではガス室の扉を開けた際に人間までが吸入しかねず、もっと安全なものということで二酸化炭素に変更されています。二酸化炭素の吸入でも死に至ることはいたりますが、時間がかかるため室内の空気をポンプで抜くという作業も必要となってしまいました。 当然、空気がなくなるのと異様な気配から犬達は不安がって鳴きますから、いかにも安楽死という用語とは異なって感じられるかもしれません。本来、犬達も死にたがっているわけではないですしね。 ですが、そもそも自ら死のうとしていない動物が対象であれば「安楽死」というものが存在していないと私は考えています。 犬達が怖がらないように、苦しまないようにと手を貸す者が必要であって、あらかじめ麻酔薬等で意識や苦痛を感じることがないようにという処置が存在していて欲しいと考えています。そのような状態であれば、二酸化炭素であろうが、薬殺であろうが、絞殺であろうが、本人は苦しむことはありません。どのような手段であろうと死ぬことはいっしょであって、求められるのは「安楽死」にみえる演出の方ではないかと思います。 「安楽死」の方法として、よく薬殺を求める意見が出てきますが、渡辺眞子さんの著書の中に薬殺による「安楽死」を要求される側の現場職員の声が記されていました。一言で言えばやらされる人間の身になってみてくれというものでした。 実施する方にとって見れば、「安楽死」に見えてもやっていることは殺処分であることは十分すぎるくらいわかっていますから、これを数限りなくやらされるのは耐えられないということですし、それについやす時間も余計にかかります。 この獣医師広報板の常連さんの中にも「安楽死というのであれば、頭部への鉞の一撃こそ安楽死である」と書き込まれているかたもいらっしゃいました。 フランス革命で生まれたギロチンも安楽死が目的で作られましたし、南極でイギリスの越冬隊が基地から撤退する際にも安楽死として、100頭の犬達が銃殺されました。欧米では苦しみを長引かせないことに「安楽死」の意図が存在しますので、非難されません。 と畜場における殺処分も同様の目的意図がありますので、牛の頭へのドンと一撃も豚への電気ショックも日本では受け入れがたいという人の方が多いのでしょうが、これも同様に「安楽死」となります。 苦痛を長引かせないようにというのが本来の意図であるのならば、手段・方法はできるだけシンプルなものが効率が良い事になります。 日本では、その点が演出が足りないまま実施してしまうケースや望んでもいない動物に死を与えなくてはならない人間への配慮がまだまだ不十分ではないかと思っています。 まだ生きている犬を前にして、殺される側(犬)と殺す側(獣医師)への配慮を欠いたまま要望されたりすると、全ての責任を負う覚悟があって口にしているのではないなと私なら考えてしまいますね。
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