美しい夏キリシマ           |  
  
2002年 日本 戦争    
  
<監督>黒木和雄  
<キャスト>柄本佑 ,   牧瀬里穂  ,   原田芳雄  ,   香川照之 ,  石田えり ,  中島ひろ子 
  
<ストーリー> 
1945年夏、両親が満州にいる15才の康夫(柄本佑 )は、体をこわし、宮崎の祖父(原田芳雄)の家で療養していた。彼は、少し前、動員されて働いていた工場が爆撃にあい、その時、親友を目の前でなくしていた。そのことで、彼の心は、大きな痛手を負っていた・・・。
  
<感想> 
戦争末期とはいえ、キリシマの見えるこの地方は、とても、のどかに見えます。 
東京など大都市は空襲にさらされ、広島、長崎には、原爆が投下されているのに、こうしてみると、狭い日本であっても、場所によっては、こんな感じだったんですねぇ。
  
とはいっても、”鬼畜米兵”が来たときのために、陸軍は駐留し、女子供の竹槍訓練はかかせず、軍旗?に、敬礼をしなければ、死ぬほど殴られる時代です。 
そして、15才の少年は、目の前で親友を失い、その時に、彼を助けられずに逃げ出したことが、大きな心の傷になっているのです。
  
淡々と、その頃の日常を描いていますが、その日常の異常性を、今の私は心にとめなければならないと思いました。 
たとえ、戦争が終わっても、康夫の心の傷は消えることなく、死んだ人は戻らず、起きてしまった過ちが、白紙に戻ることもないのです。 
なんの落ち度もない15才の少年に、「何で自分が死ななかったんだ」と、言わせるような状況を、2度と再び、作ってはいけないのです。 
ただ、今現在のこの社会が正常だとも思えないところが、なんだか不気味なのですが・・・。
  
主演の柄本佑は、俳優の柄本明の息子で、この映画でデビュー以来、たくさんの作品に出演しています。(2006,08,10)
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