トゥモロー・ワールド          |  
  
2006年 アメリカ・イギリス アドベンチャー・FS・スリラー    
  
<監督>アルフォンソ・キュアロン   
<キャスト>クライヴ・オーウェン  ,   ジュリアン・ムーア  ,   マイケル・ケイン  ,   キウェテル・イジョフォー  ,   チャーリー・ハナム  ,   ピーター・ミュラン  
  
<ストーリー> 
西暦2027年。人類には、18年間、子供が誕生していなかった。未来の見えない世界は荒廃し、絶望に沈んでいた。そんなある日、エネルギー省官僚のセオ(クライヴ・オーウェン)は、元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる地下組織に拉致され、そこで、驚くべき事実を知らされた・・・。
  
<感想> 
未来がないということは、こんなにも人々の心を荒廃させるものかと、愕然としました。 18年間子供が生まれない。世界中の女性が不妊になってしまう物語です。 
どうしてこんな事になったのか、どうすればいいのか。それに対する示唆は、ほとんどありません。 
自然や、人間の神秘な部分は、解明されていないのですから、分からないのも当然ですね。 
大気汚染が、科学の進歩が、最新の化学兵器が、どのように環境に影響を与えているのか、それも知らずに、闇雲に突き進んできた人類への当然の報いなのかもしれません。
  
そんな近未来は、とてつもなく、暗かったです。それは、人の心が壊れてしまったということでしょうか。 
この希望のない、暗い世界の姿が、延々と続くこの映画、見ていると、本当に気分が沈み込んでしまって、居ても立ってもいられない気分にさせられました。
  
そして、訪れたクライマックス。 
思わぬことに、心が揺さぶられます。 
この暗い世界において、たったひとつの希望。人々が待ち望んでいたことはこれだったのかと、改めて感じて、思わず、泣きそうになりました。 
これは、敵も味方も、人種も、老若も、男女も、貧富も関係なく、全ての人が癒され、生きる希望となりうることなのです。 
この瞬間のために、この映画は作られたのだと、確信しました。
  
ただ、それまでの、長い時間が辛くて辛くて、暗くて悲しくて、落ち込んでしまったことも事実です。 
それに耐えられるかが、この映画の賛否に繋がるかもしれませんねぇ。
  
映像は、暗くて、やりきれないのですが、その技術は、すごかったです。どうやってこれは撮影したんだろう?どこまでが作り物なのだろう??と、驚く箇所が、色々ありました。スカッと楽しいアクション映画だけではなく、こういう地味なSF映画の何気ないシーンにも、高度な技術が使われているんですね〜。
  
ラストは混沌としていますが、TOMORROWという文字がこれほど希望に満ちたものに思えたことはありませんでした。(2006,11,22)
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