「命の教育のための学校飼育のあり方」
無藤 隆
先生 白梅学園大学長・お茶の水女子大学客員教授
学校関係者の中に動物の飼育に対する基本的な誤解があり、それが学校における動物飼育を拒否したり、また適切でない飼
い方に導いているのではないだろうか。
命の教育の基本として教育の中では生物の多様性に気づくようにしながら、子どもの扱い方がその飼育している動物にふさ
わしいか。人形やおもちゃのような扱いから脱していくか。動物固有の様子に気づくか。観察力を伸ばすか、ということの実証を考えなくてはならない。また、
教師だけや子どもだけの活動にすることが大事なのではない。無知なままで自力で行うことには価値はない。学校外の保護者や専門家の援助を得て、連携を進め
る。それでも苦労はあるが、意義ある活動となるだろう。
「命を大切にする教育の充実」
嶋野道弘文教大学教授(前文部科学省主任視学官)
生命は崇高であり、生命は美である。同時に、生命は恐怖でもある。人は崇高で美しいものに惹かれ、それを慈しみ、大切
にしようとするし、恐怖を避けようとする。それが人の本能であり実体である。しかし、今、生命を軽視する傾向が強い。人が壊れかけようとしている、と言っ
ても過言ではない。
今、子どもに対して、生命を大切にする教育を一層充実させる必要がある。それに当たって、生命を大切にする
教育の特質について整理し、その観点から、飼育を通して生命を大切にする教育のあり方を考える。
「幼稚園での飼育活動の実践」
滝川孝子 武蔵野大学附属幼稚園主事
園で飼育物を飼っていると、どの様に子どもたちに 関わらせるか、また動物の出産・病気・死への対応や、 長い休みの
間の飼育の問題などがあります。
その様な問題について、本園が今までしてきた事や、飼育動物が子どもたちの身近な存在になるように、保育に取り入れ
てきた活動などをお話ししながら、今後の問題点(老いていく動物たちとのつきあい方など)を探っていきたいと思っています。
「生命尊重の心を育む動物飼育」
町井 富子 栃木県芳賀郡茂木町立木幡小学校
11月の寒い日、子牛がお腹をこわさないようにミルクを飲ませるために、子牛の口の中に手を入れた。子牛は母牛の乳首
かと思い、世話をしている1年生の指をチュチュと吸った。「子牛のももちゃんは生きているんだよ!だって僕の指を柔らかい唇でひっぱるんだもん」「もも
ちゃんの口に中ってすごくあったかいんだ」この感動を誰かに伝えたくて文が書けるようになる。子牛が大好きで毎日見ているから絵がかけるようになる。
「教室内飼育の課題と成果」
森田和良先生 筑波大学附属小学校教諭
教室での動物飼育も7年目に入った。この間、様々な児童の変化やトラブルに出会った。飼っていたモルモットの死も体験
した。さらに、クラス替え、卒業などの学級集団の解体に伴った、モルモットの引き取りについても児童と共に取り組んできた。
このような動物を飼育することによって必然的に出会う出来事に、子供や家庭、教師がどのように対応してきたのか、その7
年間の活動の一部を紹介したい。
そして、動物飼育の教育的な効果や、トラブルに対する具体的な対応、残された課題などについて考えを述べたい。
「栃木県における学校飼育動物への取り組み方」
矢部 眞人 社)栃木県獣医師会副会長・学校飼育動物
委員会委員長
栃木県では平成11年に佐野市をモデル地区に指定し、13校の小学校に夏、冬の学校訪問指導ならびに<ふれあい教室>
を行い、高評価を得た。 その結果13年より県下8教育事務所で、1市町を選び同様な事業を展開した。 しかし16年より、諸般の事情で夏休みの期間中、
全県下の小学校の先生方に講習会を開き、少しでも動物を飼う意義、飼い方、触れ合い方を勉強していただいている。
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