第6回全国学校飼育動物研究会報告
07年1月14日(日)に、お茶の水女子大学で第6回全国大会が開催され、教育関係者や獣医師、
一般、マスコミの方々が、北海道から福岡県、高知からなどから306名が参加されました。
開会では、東京都教育委員会、日本獣医師会、そして文科省からご挨拶をいただきましたが、文科省
からは、ご挨拶を頂いた上月教育課程リーダーと交代で、田村学先生が午後から参加してくださいまし
た。
ロビーでは、展示発表が行われ、谷戸幼稚園、町田市立大戸小学校、板橋区獣医師会と、研究会から
は、動物と付き合う時に気を配る点について、資料の展示がありました。
また、研究会会誌「動物飼育と教育」と研究会編集の「園・学校での動物飼育の成果」(緑書房)や群馬
県獣医師会のマニュアル等の他、ファームプレス 地球人(ビイング ネット プレス 社)少年写真
新聞社 教育開発研究所が、学校飼育動物の意義と方法に関わる本を、また株)アストロアーツ
株)ニホンミックなどが飼育に関する本を展示販売しました。
口頭発表には、教育課程にいちづけた幼稚園、小学校の動物飼育のめあてと方法そして成果の発表が
ありました。また中学校での生物教育を含んだ試み、高校生のボランティア活動について発表があり
ました。また最後に、飼育を学年飼育している学校と、飼育がない学校の4年生を比較して、一年間
の道徳性の成長を検討したお茶大グループの発表がありました。それによれば、一年間の道徳教育が
あるのに、飼育をしていない子どもは、殆ど変化がないことが分かりました。そして飼育体験をして
きた子たちは、他を思いやる気持ち、支援する態度への意識が有意に高くなっていました。
詳細 「学校飼育動物研究会」 http://www.vets.ne.jp/~school/pets/siikukenkyu2.html#第
基調講演 無藤先生「動物飼育と教育課程」
ポイント
動物飼育は来期の学習指導要領に、今まで以上に生活科に位置づけられる。また中学年の総合にも何ら
かの形で入るだろう。 例えば、○の単元だから、○についておしえれば良いというのではなく、体験
活動で見いだしたものを元にしながら考えることがあるが、それは教科書をはみ出していく。
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幼児教育・生活科として・・・・何らかの形で世話に楽しく関わらせる。
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理科・生物教育の基礎として・・野にいる昆虫や飼育動物など生き物に接して、可愛がる中で「生き
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物らしさ」つまり生物の基本的な特徴を理解する。その上で知識を教えるのが良い。
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命の教育の基礎として・・・命をまず人以外で知る。特定の気持ちをかけた動物との一回限りの出会
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いだと気付き、命を理解する。また世話することが不可欠だと分かる。
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情緒の教育の場として・・子どもが、愛、気遣い、可愛がる行為を与える側になる。
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身体性の教育の場として・弱いものとの付き合いが、自他の振る舞いへの配慮に気付かせる
また「教師には根本的な誤解がある」と以前話したが、「適切な飼育法」と言われても分からないのが
本当のところである。だから専門家の支援は不可欠である
最後のまとめ(唐木先生)
1 動物飼育は感性の形成に役立つと確信していても、それを科学的に証明しなければ信用されない。今回
初めてお茶大グループが、学年での飼育体験が心理的な発達を促すことを定量的に示したことは大きな意義
がある。このような発表を今後も期待したい。
2 人には体験しないと分からないことがある。たとえば「可愛い」という感情は、実際に対象を抱いて始
めて芽生える。愛着は、結婚や子育てに必要な感情であるが、これも対象があって始めて行動に表れる。体
験の対象として動物が役割を果たすことができる。
3 人も肥満解消が課題であるが、学校飼育動物も餌の指導が大事で、これはまた正しい食事について子ど
もに考えさせることにもつながる。