獣医師広報板トップページ動物よくある相談メニュー鶏肉や卵から鳥インフルエンザに感染しますか?
獣医師広報板のキャラクター:ココロちゃん鶏肉や卵から鳥インフルエンザに感染しますか?
文章:プロキオン(獣医師)
初出:2005/11/30
◆「動物よくある相談」利用についての注意事項
★情報は自己責任でご利用ください。
★記載されている記事は獣医師広報板の掲示板に投稿されたものが中心で、獣医師広報板の
 見解を代表するものではありません。
★飼育方法の質問は意見交換掲示板をご利用ください。
◆こどもあんぜんサイト宣言◆
こどもあんぜんサイト宣言

鳥インフルエンザについてであれば、養鶏農家以外の方であれば、まず直接的な被害はこうむることはないでしょう。
いたずらにおびえる必要はありません。

鳥インフルエンザを心配されている方に申し上げておきたいのですが、研究者が懸念をもっているのは、鳥インフルエンザの爆発的な感染力が人間のインフルエンザウイルスに持ち込まれることなのです。
そして、人間のインフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスは遺伝子的にかなり離れた位置関係にあり、自然界においては、人間に感染しにくいウイルスであって、極めて交雑が発生しがたいのです。

人間に感染しやすいという遺伝子的位置関係からでいけば、鳥ではなく、豚のインフルエンザの方が、まだ近いでしょう。
WHO等が心配しているのは鶏や豚が人間の生活環境と異常に接近していて、それぞれのウイルスについて同時に感染してしまうことと言えます。
同時感染があれば、それだけ遺伝子情報のやりとりが発生しやすくなるからです。
そして、その中から新種のインフルエンザウイルスが生まれてくるかもしれないからなのです。
換言すれば、鳥インフルエンザを恐れているのでなく、感染力の強い新種のウイルスが生まれてくることを危惧しているのです。
たとえ、可能性として低くても 今、ウイルスを根絶することができれば、そのような心配をする必要さえもなくなるからなのです。

我が国においては、豚インフルエンザの人間への罹患も話題とはなっておりません。
鶏も豚も畜産農家を除けば、人間の生活環境内から隔離された場所で飼育されているからです。

しかし、その一方で、人インフルエンザウイルスによる死亡者の数は3桁になります。
鳥インフルエンザウイルスと比較してみて、人インフルエンザの方が、より直接的な問題であるとは考えられないでしょうか。

肉を食べた卵を食べたで鶏がもっている疾病に罹患してしまうのであれば、食肉検査や食鳥検査を実施している獣医師達の仕事のことをあまりに無視してしまっていることになります。
食品を介しての罹患は、まだ報告はないはずです。

動物からの感染というのは、けっしてないわけではありませんので、注意を呼びかけるのは、けっこうなことなのですが、「不安を煽る形」になってしまうのは好ましくありません。
本来、このような時に冷静に解説をしてくれなくてはならない研究者や行政の担当者が、予算獲得の好機というような動きをかいま見せることがあります。
その辺りに不誠実さを感じてしまいます。

新種のインフルエンザウイルスが生まれる危険性というのは、私は大学生の頃から聞かされていましたし、それ以前からも指摘のあったことなのです。
ご存知の方も多いと思いますが「動物のお医者さん」の中でもヒヨちゃんという雄鶏がインフルエンザに罹患したエピソードもあります。
渡り鳥から、鳥インフルエンザウイルスの分離は20年以上前から報告がありました。
(いずれも、弱毒型ということになりますが)
鳥インフルエンザの爆発的な流行性の強さというのも、この疾病が世に認められた当初から知られていたことです。
どちらも半世紀前に予想できていたことなのに、ここへきて、急にソワソワしだしてきています。

インフルエンザウイルスのそもそもの故郷は、シベリア方面ではないかと考えられています。
しかし、世界に脅威をもたらすであろうと危惧される新種ウイルスは、おそらく東南アジア発であろうというのが、大方の見方です。
これは、いかに人間の生活そのものが新種ウイルスの出現に深く関わっているかを物語っています。
シベリアで毎年新たなインフルエンザウイルスが生まれ、自然界に放たれていても、その多くは、ウイルスハンターに捕獲されるところまでもいかずに消えていきます。
その反面、人間が関わって生まれてしまう「鬼子」の出現を、世界中が恐れています。
南北問題の1つとしてとらえる方もおります。
(政治の話としては、こちらは不向きですので、省略します。)

鳥インフルエンザウイルスを防圧できれば、新種のウイルスの発生の抑止策となりえるということで、事が鶏相手のうちになんとかしたいということなのです。
今現在のところの鳥インフルエンザに人間が感染した場合の致命率はおよそ50%くらいのようです。
この死亡原因というのもサイトカインショックによるのではないか、直接的死因ではないのではないかという見方が出てきているそうです。
一般の方が、このウイルスに遭遇する可能性は、かなり低いと考えられますし、卵や食肉から罹患するということは、まず考えなくても良いのではないでしょうか。

関連FAQ:

関連リンク:

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。


じゅんで〜す
画像募集中!!(無料)
画像集

◆獣医師広報板の主張

◆獣医師広報板管理人の独り言
利用上の注意事項&メニュー
2024年12月のBest
  1. ドイツの狩猟法による犬猫の殺処分数(161)
  2. 大阪万博ペット同伴絶対反対(111)
  3. SNSへのペットの亡骸写真のアップは是か非か(98)
  4. 神ボランティアに賠償命令判決(67)
  5. クマの殺処分(161)
  6. TNRのシミュレーション結果の評価(54)

◆獣医師広報板よくある質問(FAQ)
メニュー
2024年12月のBest
  1. 犬の保定の仕方−誰でも出来る犬のおさえ方実例集(412)
  2. イヌの足について(257)
  3. 動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴(234)
  4. トリの保定のしかた お薬の飲ませ方(227)
  5. ネコの投薬方(219)
  6. 動物実験の実習など、生き物を殺さずに獣医師になれませんか(102)
  7. 仔猫の育て方ガイド(101)
  8. ウサギの保定(100)
  9. 治らない病気のペットの安楽死を断られた(100)
  10. テレビなどマスコミでは動物愛護家はすべていい人、優しい人、正しい人などが前提で扱われることが多いように思います。私は人間ですが、私にも優しい人達ばかりなのでしょうか。(100)
  11. 【宿の声】ペット同伴でないお客さまからこんな苦情がありました(90)
  12. あきらめないで!迷子動物・保護動物帰宅実例集(86)

◆獣医師広報板からのお願い
獣医師広報板をご利用、本当にありがとうございます。
獣医師広報板は個人サイトですが、その運営はボランティアスタッフが担い、運営資金はサポーターの応援に頼っています。
獣医師広報板は多額の累積赤字を計上しております。
サポーターは企業でも個人でも結構です。
ぜひ、獣医師広報板をサポーターとして応援ください。

◆PC版コンテンツ利用数Best(2024年12月期)
  1. 猫のカロリー計算(8,095)
  2. 管理人の独り言(5,999)
  3. 動物よくある相談(3,381)
  4. 犬のカロリー計算(2,886)
  5. 広報板カフェ(1,673)
  6. 迷子動物、保護動物掲示板(1,271)
コンテンツ別アクセス数

◆電子図書
電子図書「"犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍」は、2022年2月23日より第四版になっております。
新しいエピソードも追加され、データーも更新されています。
第一版、第二版、第三版を読まれた方も、是非第四版をお読みください。
犬と麻薬のはなし−麻薬探知犬の活躍−第四版2022/02/23公開

◆一般市民向けの動物に関するセミナー・イベント
★毎週土曜日午後1時〜4時
ペットロスホットライン
ペットロスホットラインは、今のお気持ちをお聴きする電話です。
★WEB講座
★〜2025年1月13日:福岡県福岡市
★〜2025年1月19日:東京都台東区
★〜2025年2月24日:東京都台東区
★2025年1月8日-13日:福岡県福岡市
★2025年1月11日,12日:大阪府大東市
★2025年1月11日:栃木県真岡市,1月12日:佐賀県佐賀市
★2025年1月11日-13日:神奈川県横浜市
★2025年1月11日-13日:東京都千代田区
★2025年1月12日,2月9日,3月9日,4月13日,5月11日,6月8日,7月13日,8月3日,9月14日,10月12日,11月9日,12月14日:東京都豊島区
★2025年1月14日-28日:オンライン
★2025年1月16日-23日:オンライン
★2025年1月18日:北海道江別市
★2025年1月18日:愛知県瀬戸市,1月19日:広島県広島市
★2025年1月18日:オンライン
★2025年1月24日:オンライン
★2025年1月24日-2月24日:東京都台東区
★2025年1月25日:埼玉県戸田市
★2025年1月25日:東京都千代田区,1月26日:栃木県下野市,1月26日:島根県出雲市
★2025年1月26日:神奈川県厚木市
★2025年1月26日:宮崎県延岡市
★2025年1月26日:宮城県仙台市
★2025年2月1日:東京都清瀬市
★2025年2月1日:東京都千代田区,2月2日:島根県松江市
★2025年2月8日:茨城県つくば市
★2025年2月8日:岐阜県大垣市,栃木県小山市
★2025年2月15日:オンライン
★2025年2月15日:茨城県鉾田市,東京都千代田区,愛知県東海市
★2025年2月19日-3月16日:東京都文京区
★2025年2月22日-23日:東京都武蔵野市
★2025年2月22日:栃木県大田原市,2月23日:島根県出雲市,佐賀県佐賀市
★2025年3月1日:東京都千代田区,3月2日:新潟県阿賀野市,宮城県仙台市,島根県松江市
★2025年3月8日-9日:東京都世田谷区
★2025年3月9日:栃木県足利市
★2025年3月15日:愛知県名古屋市
★2025年3月22日:栃木県宇都宮市,3月23日:島根県出雲市:愛知県名古屋市
★2025年3月30日:愛媛県伊予郡
★2025年4月3日-6日:東京都江東区
★2025年4月6日:東京都台東区
★2025年5月3日-5日:千葉県千葉市

セミナー・イベント情報はメールにて広報内容を送ってください。(掲載無料)

◆ペット動物獣医師&動物看護師向けの動物に関するセミナー・イベント
利用上の注意事項&メニュー

◆経済動物獣医師向けのセミナー・イベント

◆公衆衛生獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆実験動物獣医師獣医師向けのセミナー・イベント

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2025 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。