質問:ヒグマが町中に出てきて、駆除されました。麻酔銃で捕獲することは出来なかったのでしょうか。麻酔銃なら安全に捕獲できると思うのですが。
<回答>
アフリカに海外青年協力隊で獣医師として参加された人が言っていたことです。
−−−−
野生動物のテレビで、麻酔銃で象を眠らせて発信器をつける。
そして、麻酔を覚める薬を注射して、速やかに離れる。
象は立ち上がる。
あれ、嘘だよ。
かなりが死ぬ。
致死量に近いくらいの量を麻酔銃に込めないと、寝たように見えても急に暴れ出すことがある。
だから、全部が起き上がるわけではないんだ。
テレビはそれを言わない。
−−−−
通常動物病院では、体重を量り、各種の健康検査を行って麻酔の種類や麻酔量を決めます。
この場合、最大の決め手は体重で、動物病院で通常100グラム単位で計測し、麻酔量を決めます。
では野生の象やヒグマの健康状態や体重は知ることが出来るでしょうか。
事前に検査や計測出来ません。
体重で言えば、だいたい大人のメスならこれくらいの体重と推定します。
そして、大抵は多めに麻酔量を定めます。
なぜかと言えば、麻酔がかかったように見えて、人が近づけば急に暴れ出すことがあるので、全部が全部麻酔にかかると想定できる量にします。
つまり、比較的安全量と言うより、麻酔としては過量となります。
うまくいくときもありますが、麻酔銃で撃たれた後に水場で倒れて溺死も過去ありました。
野生動物に対する麻酔銃による麻酔はリスクのある麻酔で、必ずしも安全なものではないと私は考えています。
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