■迷子になった日 2010/02/28
■帰宅した日 2010/03/09
■状況 古くなった首輪を新しい首輪に交換しようとして逃げる。
■届出先機関 飼い主からの逸走届けは無し、保護主は警察署・保健所に保護届け
■発見の決めて ボランティアによるチラシポスティング
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<プロフィール>
ラッキー(♂未去勢 柴系ミックス中型犬、 6歳、首輪無し)
毛色は茶色で立ち耳。人なつこい性格。
※飼い主・保護主がインターネット環境にないため、預かりと飼い主捜しに関わった動物ボランティアからの報告です。
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[2月28日(日)]
夕方4時半頃、古くなっていた首輪を新しい首輪に交換していた際、スルリと逃げて走っていってしまった。
新しい首輪をつけて、そこに鎖をつないでから古い首輪を外すべきだったと反省。すぐに近所を捜したが姿は見えず、以前にも逃げてしまったときに短時間で自分から戻ってきたので今回も戻ってくるだろうと思ってしまった。
(注・飼い主夫婦は高齢の方で、犬が逃げたら届け出をすることを知らなかった)
◆ここから先は保護した女子高校生の父親からの聞き取りです。
[2月28日(日)]
夕方5時頃、娘(女子高校生)が放れている犬を見かけた。呼ぶとすぐに寄ってきて、「おすわり」と言ったら犬はすぐにおすわりをした。
犬がいたのは片側3車線の交通量の多い国道に面している歩道。道に出たら危ないと思ったが、首輪をしていないためつかまえることができず、犬に話しかけてそこにとどまらせながら父親である私へ「すぐに来て」と携帯電話で連絡。
ちょうど職場の退勤時刻だったので、15分ほどで娘と犬がいる地点へ到着。人なつこく、さわっても怒らないので、抱き上げて車に乗せ、とりあえず交通事故の危険から守る。
さて、この犬をどうしようと思ったが、首輪をつけて安全を確保するのが先決の状況だったので自宅へ向かう。保護地点から自宅までは車で10分ほど。
うちでは室内でミニチュアダックスフントを飼っており、連れてきた犬の気配で激しく鳴く。しかたないので、保護した犬は母屋に隣接している納屋の中につないだ。
そのあと警察署へ電話で届け出。日曜のため保健所への届け出は翌日。
保護初日の晩は納屋でヒンヒンキュンキュン、ときにはワンワンと大きな声で鳴き、救急車のサイレンに反応して遠吠え。近所から苦情がくるかもしれないと気になった。
[3月1日(月)]
保健所に電話で保護届け出。職場のパソコンでチラシを作ってみた。娘が「コーギーの顔をしている」と言っていたので、[茶色の中型犬、コーギーに似ています]というチラシにした。
※あとになって動物ボランティアが実際に犬を見たところ、まったくコーギー似ではありませんでした。茶色で立ち耳で目が丸いというだけで娘さんは「コーギーの顔」と言い、それをお父さんが「コーギーに似ています」という文章でチラシを作ってしまいました。けっきょく、そのチラシは使わなかったのですが、もし使っていたら「うちの犬はコーギーに似ていない」と思われて情報が行き違いになったかもしれません。あとで聞いたら高齢の飼い主さんは「コーギー」を知りませんでした。ご近所の方も「○○さんちの犬はコーギーには似ていない」と思ってしまったことでしょう。○○に似ていますという主観的なことはチラシには書かないほうがいいと思います。
[3月2日(火)]
チラシの内容を考えあぐねてまだ完成せず。作ったとしてもどこにどう貼るのがいいのかわからず。犬はよく鳴くため、家内から「どうするの? いつまで置くの?」と苦情が出る。
[3月3日(水)]
鳴き声が反響する納屋につなぐのをやめにする。母屋からは少し離れており、隣家にも騒音の影響のない場所を考えた結果、敷地内の隅の農業用ビニールハウスの中につないだ。来月には田植え用の苗を育てるが今の時期は使うこともないので犬を置いておける。
夜、つなぎ方が悪かったせいか、犬が逃げた。鳴き声で逃げたことに気がつき、外に出たら放れていた。呼ぶと近くまでくるが捕まえようとすると逃げる。遠くには行かず、近くをうろうろする。夜半過ぎ、やっと捕まえてビニールハウスの中にしっかりとつなぐ。朝方までずっと鳴き続ける。
[3月4日(木)]
昨夜の脱走に家内が業を煮やし、3〜4軒隣の家が犬を飼ってくれるという話を取りつけてきた。さっそく犬を連れていき、やれやれとほっとする。
その晩、また脱走。我が家に戻ってきたため、再び犬を連れていく。
[3月5日(金)]
また脱走。我が家に戻ってくる。飼ってくれると言った家からは、こうたびたび脱走するようでは飼えないと断わられる。
なぜ脱走するのか。首回りが太いため、首輪の穴を苦しくない程度に加減しておくと頭から抜けてしまう。前足を通すハーネスなら抜けないかと思って買ってきたが、いとも簡単に外してまたまた脱走。すぐに戻ってきて捕まえる。
[3月6日(土)][3月7日(日)]
ハーネスをきつめに調整しても外して脱走を繰り返す。脱走してもどこにも行かず敷地内から出ないが、こんなことを続けていることに疲れ果てる。夜間はあいかわらずよく鳴く。
[3月8日(月)]
家内から最終通告が出たため、犬を警察署に連れていき預けることにした。娘が保健所にはやらないでと言っていたので、警察署にその旨を伝える。
◆ここから先は動物ボランティアからの報告です。
[3月8日(月)]
警察署から、こういう犬を捜している飼い主に心当たりはないですかと連絡が入る。詳細を知るために警察署へ出向き、犬に会い、保護の経緯を聞く。
人なつこく、脱走しても保護主から離れないことを聞き、狭いケージに入れられて警察署留め置きになるのはこの犬の性格上よくないと判断し、ボランティア宅での預かりを申し出る。
ボランティア宅に連れて帰る途中、車の中で何度も足上げおしっこ。ボランティアの腕にしがみついて激しく腰振り。血気盛んなオス犬という感じ。ふりほどくとジレて腕を噛んでくる。そもそも脱走したのは発情メスが近所にいたからかもしれない。保護主宅のミニチュアダックスフントが発情していたおかげで、何度脱走してもそこを離れなかったのかもしれない。
帰宅後、首回りの毛をチェックしたら、首輪をつけていた跡の毛のこすれや毛切れがまったくない。かといって、つながれることを嫌がるふうでもない。ということは、つながれて飼われていたが、毛がこすれて切れたり跡がついたりしないほどかなりユルユルの首輪だったということ。
ドッグフードは好まないがパンは大喜びで食べる。ということは、ドッグフードではなく人間の残り物が食餌で、パンなどのおやつも頻繁にもらっていたということ。
おやつ好きな点を考慮し、歯が若いうちから汚れると想定して、年齢を3〜6歳と推測。
散歩に行ってみるとあまり散歩慣れしていない様子。グイグイ引っ張ったかと思うと一箇所に長く止まって匂いを嗅ぎ続ける。
言葉をかけるとじっと目を見て聞いている。しょっちゅう話しかけられていた暮らしをしていた模様。
かわいがられていた風情をもっているのに逸走届けが出ていないということは、届け出をすることを知らないか、そのうち帰ってくるだろうとノンキに構えている人が飼い主。高齢の方が飼い主だろうとめぼしをつける。
保護から丸1週間過ぎているのに逸走届けが出ていないなら、保護した側からアプローチしないと飼い主の元へ帰れない。
天気予報を確認したら、明日夜から2日間は雨。チラシポスティングするなら今日のうち。すぐ手書きチラシを作り、夜8時からポスティング開始。5人で一人80枚ポスティング。計400枚を保護地点一帯の家・店・会社に投函。所要1時間。
●チラシの内容(手書き・白黒コピー・ハガキ大)
預かっています
茶色の中型犬 オス
(漫画風の犬のイラスト)
心当たりある方はご連絡ください。
連絡先 (携帯電話番号)
■チラシの内容はシンプルであればあるほどいい
誰が見ても「その通りだ」と思う内容にしておく。
時間経過や犬の心の状態で変わる可能性のあることは書かない。
(フサフサの毛とか、服を着ていますとか、首輪付きとか、しっぽがピンと立っていますとかは書かない)
犬種や○○似は書かない(その犬種を知らない人には逆効果)
保護場所は書かない(遠方から来ている場合、まさかそんなところにと別犬だと思われてしまう)
写真は載せない(写り具合によってはまったく別犬に見えてしまうから)
漫画風のイラストでしょぼくれている表情にしておくと、気に留めてくれる人が多くなる。
[3月9日(火)]
朝9時、「チラシが入っていました。うちの犬です」と連絡が入る。預かりボランティア宅にて確認。「ラッキー!」の呼びかけにしっぽをブンブン振って身をくねらせて反応。再会を果たす。
やはり高齢の方でした、飼い主夫婦。狂犬病予防注射はきちんきちんと受けているが、ワクチンもフィラリアも去勢もご存知なく、無事にお返しできたご縁を機に健康管理と脱走対策をしっかりやってくれるようお願いする。
案の定、飼い主が持参した首輪をつけたのを見たらユルユルにつけたので、それではまた逃げますよ、このくらいにしてくださいと指2本分入るサイズにつけなおし。苦しくないですか?と言うので、今までみたいなユルユルに比べたら違和感あるけれどすぐ慣れます、ちゃんと息はできるしゴハンも食べられます、ユルユルでまた脱走して事故にでも遭ったらそのほうが苦しい思いしますよと言いました。
家に着いて居場所につないたら「よく帰ってきた」と誉めてあげてください。叱ったらだめですよ、ここがおまえのうちだぞと誉めてあげてください。
脱走した自宅から女子高校生が保護した地点までは角を曲がってほんの100メートル。脱走直後に保護されて、飼い主が近所を捜しているときに犬はもう車に乗せられて走り出していたわけです。
飼い主がすぐ逸走届けをしていれば、警察署で保護届けと合致してその日のうちに帰宅できていたはず。
届け出は本当に大切です。
〔飼い主さん・保護主さん・関わった動物ボランティアの了解の上頂いたメールを公開しています。〕
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