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権勢症候群の気質を持ったバセットハウンド（３歳牡）について：その１

日本獣医畜産大学臨床病理学教室　石田卓夫

　まずもって去勢が勧められます．全身麻酔で死亡するなど過去の話で 現在は
しっかり麻酔前検査を行って 死ぬような動物にはそもそも麻酔はかけません．
ドミナンスやアグレッションといった問題行動自体 去勢によって少しは軽減す
る可能性がありまし その後の訓練がやりやすくなるでしょう．
　訓練所に出したことは ある程度の訓練が入るという意味では有意義ですが
本当のボスはだれか ということを認識できないままになっているのだろうと思
います．おそらく訓練所の先生はこわかったのでボスと認識しているかもしれま
せん．また散歩の時は良い子だというのは おそらく上下関係とリードの存在を
なにか結びつけて訓練されているのだと思います．もしもリードの存在でおとな
しくなるなら これからも訓練にリードが使えるかも知れません．あるいは テ
リトリーに関連した強さを発揮しているのであれば 家を離れた瞬間 おとなし
くなるのかもしれません．
　これからの訓練は どこの場所でも どんな状況でも ボスは誰であるかを明
確にすることです．犬の最大の心配事は 自分の尊敬するボスから 愛情と食事
をもらうことです．たまたま今は自分がボスだと認識しているかもしれませんが
食事と愛情で 上下関係の逆転は理論的には可能と思われます．人間が犬に対し
て強いか弱いかで対処法は違いますが 弱い人ということで話を進めます．また
家族の中でだれを馬鹿にして だれを尊敬していそうかみつけてください．ゴー
ルは一番弱い人でも犬より上位になることです．
　この場合 力で服従させることは無理だし危険なので行いません．そのかわり
に愛情と食事のとりあげを行います．まず散歩でも 遊びでも 犬が飼い主から
もらう愛情と注意で最も好きなことを選び その前になにか簡単なコマンドを与
えます．お座りでも お手でも そしてコマンドに従ったら楽しいことが起こり
コマンドに従わなかったり うなったりしたら その場から黙って立ち去ります．
すなわち 反抗したら楽しいことや人間の愛情が目の前から消え去ったという状
況を作ります．
　食事