獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199806-145

かなさんへ・・・Re.去勢について
投稿日 1998年6月28日(日)14時50分 イブ




去勢手術による効果には次のようなものがあります。

1、 性行動を抑制します。
発情中のメスがいても性的な興味を持たなくなります。
  また、散歩中に間違って自然交配してしまう心配が無いので 社会的に迷惑をかけることがありません。

2、 ある種の病気の予防になります。
精巣の腫瘍は起こり得なくなります。
また、肛門周囲の腫瘍、前立腺の病気(前立腺肥大症等)
の発症率が少なくなることが知られています。

3、 縄張り意識が低下します。
犬であれば、散歩中などの本来の排尿以外に、電柱や塀、
室内犬であればお部屋のあちこちへちょこちょことオシッコ
をかけるマーキング行動が少なくなる可能性があります.
これは100%なくなる保証はありませんが、少なくなるケース
が多いのは事実です。
性成熟前に手術をすることによって、多くの場合マーキング
行動を防ぐことができるでしょう.

4、 性ホルモンの影響による攻撃性が低下します。
オスは、雌の性フェロモンの匂いをかぐといてもたっても居ら
れなくなり、性行動を邪魔するものに対して攻撃性を示す場
合があります。雌の取り合いで雄同士がけんかしたりするの
はそのためです。
去勢によってコントロールできるのはここの部分であり、
生まれつきのその子の性格を変えることはできません。

5、 悪い効果として、太りやすくなる、ということがあります。
これも、100%肥満になるわけではなく、また、去勢をしなくて
も肥満になる子もいます。去勢をするしないに関わらず
食餌管理による部分が大きいと思います。

と、ここまで客観的に書いてまいりましたが、ここで考えてほしいことがあります。それは、性的本能を抑制されたときの精神的ストレスの存在です。動物には、ヒトにあるような理性がありません。また、とても鼻がいいのでたとえ室内犬であっても近所に住んでいるかわいい彼女のいい匂いにすぐ気付き、性的衝動にかられることでしょう。なんとなくイライラし、食欲がなくなることもあります。
本能のままに自由に性行動をさせてあげ、その結果生まれた子供はすべて認知し、将来まで責任を持つのであれば話しは別ですが、もしそうでないならば、一生性欲を押さえられた彼の苦しみも考えてあげるべきだと思います。
私達は、一定の社会的ルールのなかで生きています。その中で動物達を飼っている以上、彼らにも我慢してもらうことも出てきてしまうでしょう。でも、その我慢が、できるだけストレスにならないようにしてあげるのが私達飼主のつとめだと思います。避妊や去勢を「勝手なことだ」とか「かわいそうだ」とか決めつける前に、こういう事も考えて結論を出してもらいたいと思います。


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