獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199807-87

のんさんへ・・・Re.どっちがいいの?
投稿日 1998年7月13日(月)21時09分 イブ

のんさんの飼われている動物は犬ですか?猫ですか?
また、犬だとしたら、室内犬ですか?屋外犬ですか?体格はどのくらいなのでしょうか?
これらの条件次第で、アドバイスはかなり違ってきます。
例えば猫チャンであった場合、私は避妊手術するべきと思います。なぜなら、猫は発情すると雄を求めて外に出たがることが多くなり交配を防ぐことが難しくなります。その結果、予期せぬ子供が半年毎に生まれ、飼主はどうしたらよいか途方に暮れることになるでしょう。子猫をすべて飼う自信があったり、いい飼主を見つけてあげられるならば別ですが、そうでなければ、子猫を見捨てたり安楽死?せざるを得ない状況になります。一匹の猫の避妊をかわいそうがったために、何匹もの子猫が不幸になります。また、完全室内飼いで交配を押さえたとしても、発情中の特異行動に飼主さんは閉口するでしょう。また、性欲を押さえられた猫ちゃんもかなりの肉体的精神的ストレスを受けることになるでしょう。

次に、小さな完全室内犬だった場合、これはそれほど避妊手術をする必要はないと思います。なるかどうかわからない病気の予防のために避妊手術をするというのは、あまり説得力の無いことのように思われます。発情中の多少の陰部からの出血さえがまんすれば、飼主さんも犬もストレスは少ないと思います。発情に伴う何か困ったことが起きた時に避妊手術を考えればいいと思います。

つぎは、屋外犬や外を散歩する犬です。発情中の雌犬の性フェロモンは、遠く3〜4Km先まで届くといわれています。近所の雄犬は、それはもう敏感に感じ取ってすっかりその気になっています。そこへ魅力的なあなたのワンちゃんが歩いてきたらどうでしょう。繋いである紐をひきちぎってでも、高い塀を乗り越えてでも、性欲を満たしたいと思うことでしょう。実際に性欲に駆られた雄犬はそうします。そして、思わぬ妊娠が成立するのです。そして望まれずに生まれた子犬は、不幸な運命をたどることが多いのが事実です。生まれる前にホルモン剤で流産させる、これは、避妊手術より身体によくないと考えます。とても副作用が強いからです。避妊手術をしないと、こうしたことを約半年毎に気にしなければなりません。


私は、避妊手術というのは、人と飼われている動物が社会で仲良く暮らしていくための一つの処世術だと考えています。「自然のままがいい、避妊なんて、人間のエゴだ」とおっしゃる方もいます。でも、それでは、人が動物の自由を奪って「飼う」ことは「自然」なことなのでしょうか?望まれない子供を捨てることは「自然な行為」なのでしょうか?動物が「飼われる」という形で人間と共存している以上、飼主にも動物にもいろいろな制約があります。野性でない以上、病気については飼主が責任を持ってあげるべきだし、生殖行動もコントロールしてしかるべきだと思います。ただし、そのコントロールの仕方は、動物の性欲を押え込むような苦痛のあるものであってはいけないし、ましてや子供を捨てたり殺したりするのでは絶対いけないと思います。
避妊手術の利点として、性格のこととか、病気の予防のこととか、いろいろ取り上げられていますが、避妊手術を考える時これらを主目的にする人はあまり多くないと思います。やっぱり、発情に伴う問題行動や、繁殖のコントロールが目的でしょう。
こうした事を考えた上で、自分の場合はどうなのか決めればいいと思います。どのようなことでも、一人一人考えは違うものです。たとえ、同じ獣医学を学んだとしても治療の方法も微妙に違います。以上のことは、一獣医師である私の考えですが、また別の先生は病気の予防のために避妊手術を勧めるかもしれません。人の意見を聞き、自分で納得したことを為せばいいのです。

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