意見交換掲示板過去発言No.0000-199904-21
ダイアのパパさんへ |
投稿日 1999年4月3日(土)07時16分 マンタ
はじめまして。4ヶ月のゴールデン・・・さぞ、やんちゃ盛りでしょう。 まずは繁殖させたいとのことですが、ひとつ考えていただきたいことがあります。 それは、動物収容施設で死に行く犬のことです。毎年かなりの頭数の犬達が 安楽死されています。その反面、新しく犬を購入する人達もいます。 犬を飼いたい人もいれば、人為的に死んでいくいぬもいるのは、(当然のことですが) 飼い主を探している犬(安楽死させられる犬+販売される犬)と飼い犬を探している 人間のバランスがあっていないために起こる悲劇だとおもっています。 この悲劇を少しでも少なくしていくためには、飼い犬の繁殖制限が必要になってきます。 また、純血種はいわゆる血が濃くなりさまざまな遺伝的素因をもっています。 血統証に血縁関係が記載されているのは、遺伝的疾患をできるかぎり少なくする ために利用できるからです。最低限ご自分の犬の血統を理解され、遺伝的疾患を抑えることが 可能であることが条件となるとおもわれます。また、レトリバーは股関節形成不全が 遺伝的疾患としてあり、その素因をもっている犬の繁殖は欧米では制限されています。 多産系の犬種でもありますので、産まれた子犬をすべて自分で世話をする(子犬の 時だけでなく、貰い手・買い手が見つからなかった場合は寿命がくるまで)覚悟も 必要です。その点を考慮の上繁殖については、再考していただきたいとおもいます。 さて、不妊手術か薬による不妊かですが、まず不妊手術の利点からあげます。 子宮卵巣全摘出術であれば、子宮・卵巣にかかわるすべての疾患から開放されます。 具体的には、子宮筋腫・子宮癌・卵巣腫瘍・子宮蓄膿症などです。 また、乳腺腫瘍の発生の危険性が下がることも統計上あきらかになっています。 未不妊手術犬や3回以上発情を経験した犬と比べ、危険率は 初回発情前の不妊手術であれば 1/200 2回発情前であれば 1/12.5 3回発情前であれば 1/8 です。つまり、早ければ早いほど乳腺腫瘍にかかりづらくなります。 欠点ですが、20%から30%の犬に肥満傾向がみられます。 ただ、太るということは原因がなんであれ、1日に必要とされているエネルギー量 以上のものを食べ物で摂取しているためおこりますから、食事量の調整をしっかり 行なえば肥満になることは予防できます。 インプラントの件ですが、不妊に使用している薬剤は人医のほうでは、発ガン性 があるとのことで、発売中止になっている薬剤です(ヨーロッパ)。 また、取り除いてから発情がくる時期が不定のため果たして希望したときに 出産させることができるかどうかも疑問になります(取り除き後1年半たって 発情がくることもあります。つまり、子供がほしいと思ったときより2年近く 先に子供ができることもあるということです)。 以上の理由から、不妊を希望するのであれば手術を(しかもなるべく早い時期に) おすすめいたします。 |
|
|
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」 ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴) サポーターや広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)、 多くの人々に支えられています。 獣医師広報板へのリンク・サポーター募集・ボランティアスタッフ募集・プライバシーポリシー 獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。 @mukumuku_vetsさんをフォロー
Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved |