意見交換掲示板過去発言No.0000-199904-37
ノミの生態 |
投稿日 1999年4月5日(月)21時15分 マンタ
ノミを駆除するには、敵のことをよく知ることが大事です。その点では やまさきさんのお考え非常にすばらしいですね。おっしゃっていることも ほぼ正解でしょう。 まずノミですが、現在犬についているノミも猫についているノミもほとんど ネコノミです。ノミは、卵→幼虫→さなぎ→成虫と完全変体する生物です。 外界におけるおよその割合は、卵50%幼虫30%さなぎ15%成虫5%です。 成虫は、さなぎから羽化後2日間以内に寄生できなければ死んでしまいます。 寄生した成虫は、吸血後36〜48時間で寄生動物の体表に産卵し始めます。 産卵された卵は、粘着力とかありませんので、自由落下の法則にともなって 犬の体からはなれます。温度と湿度によって異なりますが、卵は最長でも 2週間以内に孵化するようです。孵化して幼虫になったノミは、光から離れる 性質をもっているので、暗いとことろに入り込みます。ノミの幼虫の餌は、 ノミの親が排泄した糞、フケ、有機性のホコリなどです。特に、脱皮をしたり (2回の脱皮を幼虫時代に行ないます)蛹化したりするときに高蛋白のノミの 親の糞が必要になります。蛹化するまでの最長時間は6週といわれています。 さなぎになったノミは、繭にホコリ等を付けて外界の環境にある程度の抵抗性を 示すようになります。羽化は、動物の刺激(二酸化炭素や、振動、熱等の刺激) に反応して起こります。これは、すぐに寄生動物に飛び移れるためでもあります。 サナギは最長で50週間その状態で生きていることができます。 ノミの効果的な駆除は、当然このどこかをたちきればいいのですが、ではこれは どこで起こっているのでしょうか? よく「ノミを拾ってくる」といいますが、この言葉のせいでノミが外(草むら等) で繁殖していると思っている飼い主の方が多いですが、ノミが効率よく仲間を増やす ためには、寄生動物のそばで増えていくことが必要です。 卵は、最初寄生動物の被毛の中にいます。動物が寝る場所や、飛び跳ねる場所に よく落ちます。たとえば、寝床、ソファーやベットの周囲、そういう場所です。 卵もそう言うところで落ちれば、孵化した後ノミの親の糞が落ちてくる可能性が 高いので、孵化してもひとまず安心、ということになります。 また、幼虫も水平に移動することはあまりなく、下(暗いほう)に向かって移動し、 そこでさなぎになります。サナギは動きませんからその場所で成虫になります。 つまり、動物がいつもいる場所がノミがいる場所ということです。 どういう生物でも卵が殻を持っている場合、外界の環境に抵抗性になります。 つまり、薬が効かないということです。また、(最近は良い薬がでて勉強不足 のためもしかしたら効果のある殺虫剤があるかもしれませんが・・・)ノミの 幼虫を殺すことができる殺虫剤は私が知る限り1種類だけです。それも、スプレー 式のためノミの幼虫にかかるかどうかわかりません。 さなぎは先ほども書きましたが、外界に抵抗性です。つまり、殺虫剤で殺せるのは たった5%のノミの親だけということになります。 ノミが現在増えているのに、5%しかいない親を殺していくだけでは、羽化して くるノミが死なず、ノミを完全に駆除することはできません。 そこで、必要になってくるのが獣医師が扱っているさまざまなノミ駆除薬になるわけです。 月に1回飲んだり、6ヶ月に1回注射するタイプの薬は、親を殺すことはできませんが、 その薬を摂取した親から生まれた卵から孵化する幼虫は、薬の影響を受けて 卵の殻を破るためのクくちばしができません。つまり、孵化できなくなります。 今現在いる幼虫や、薬を使用する前に産み落とされた卵(いずれ幼虫に孵化します) は、幼虫時代に必要な栄養源である親の糞を通し、薬の影響を受けます。 その結果、2回の脱皮ができなくなり、さなぎになれません。 親を標的にする場合は、孵化したノミが卵を生む前に死んでしまうような薬が いいと思っています。滴下式、スプレー式どちらもでています。 この薬は、幼虫に直接触れたときに幼虫を殺す効果もあるようです。 ただ、光から遠ざかる幼虫に犬の体についた薬が接触できる機会がどれだけあるかは 疑問です。環境中に撒くというなら別ですが・・・。 以上、ながなが書きましたが、ノミの生態とのみ駆除の方法でした。 追:やまさきさんの場合のように環境が汚染されている場合は、両方の 薬を併用したほうがいいとおもいます。環境が浄化された場合や、今現在 ノミがいないような環境であれば、ノミの親を環境中にいれないよう、 成虫に対しての駆除がおすすめです。 |
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