獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199905-5

ウサギの不整交合
投稿日 1999年5月1日(土)14時18分 プロキオン

ウサギの不整交合ですが、臼歯に起きているいる場合はひじょ
うにやっかいです。

私の病院にも1例いますが、下顎にできた膿瘍が切開しようが
切除しようが、なんどでも再発します。
頬の内側に膿瘍が形成されるので、ひじょうに摘出しにくいの
です。しかも、再発するたびに周囲の血管を巻き込んで手が出
せなくなってきたので、今では切開と洗浄消毒に留めています。

これは歯の根っこである根尖に持続性の炎症が起きており、根
本の治療が実施されていないからです。
この場合はすでに下顎骨の融解と再構築がありますので、骨も
変形してしまい、顔かたちが変わってしまっています。
臼歯を抜けばよさそうなものですが、臼歯そのものが砕けたり
下顎骨の骨折を招来する恐れがあり、なかなか手がだせるもの
ではありません。

文献的には、下顎骨の下側からアプローチして臼歯を下側から
脱臼させて抜歯する方法もあるらしいのですが、アメリカでも
この方法を実施している先生はあまりいないようだと斉藤久美
子先生から伺ったことがあります。
 # そのくらいウサギの骨は骨折しやすいのです!

現状では摘出できる膿瘍は摘出し、そうでないものは切開した
後、洗浄消毒を徹底して、有効な抗生物質をキチンと投与しつ
づけることが大事なのではないでしょうか。
診断が難しいという疾病ではないので、誤診ということはちょ
っと考えられません。
かおりんごさんがレスの中で飼い主さんの姿勢でとても大切な
ことをおっしゃられていますので、この疾病のウサギを飼育さ
れている方はもう一度読みかえしてみて下さい。

この疾病の予後は不良なのですが、キチンとお薬を服用させる
ことで、随分と違ってくるのです。できるだけのことをしてあ
げたいというのに獣医師も飼い主も違いはないのではないでし
ょうか。

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