獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199907-149

猫の乳腺腫瘍について
投稿日 1999年7月14日(水)21時20分 まっつん

猫の乳腺腫瘍はとても悪性度が強く、原則として悪性とみなします。およそ80%の腫瘍が悪性といわれています。また大きくなるスピードも速い場合が多いので、小さなしこりでも発見した場合にはすぐに積極的に治療するのが原則となっています。
 しかし乳腺腫瘍と似た病気も存在します。その一つに乳腺の過形成があります。その特徴は1)若い避妊していない雌猫にみられる2)発情後1〜2週間でみられることが多い3)急速に大きくなり浮腫(水膨れみたいなものと思ってください)・自潰を伴う場合もある4)自然に小さくなる、などです。これは一般に繊維上皮過形成と呼ばれます。その他小葉過形成や乳腺炎などがあります。
 もし少しでも長生きさせようと思うのであれば、まず近くの病院へ行って胸部のレントゲンを撮ってもらってください。もし悪性度の強い腫瘍であれば、去年の秋から考えると明らかに肺に転移を起こしています。もし肺転移が認められたならば、治療はあきらめてください。きついようですが、肺転移がみられた場合抗ガン剤による治療しか残されておらず、抗ガン剤で抑えられる期間も限られています。またその副作用や治療にかかる費用はおそらく想像を超えるものだと思います。
 肺転移がないのであれば、リンパ節の触診をやってもらってください。乳腺腫瘍のほとんどが、まず近くのリンパ節に転移します。その場合同じように普段よりも大きくなっています。もし大きくなっているのであれば、リンパ節の細胞診(リンパ節に悪い細胞がないかどうかみる)をしてもらってください。
 リンパ節に転移があってもなくても、実際に乳腺の腫瘍と思われるところから細胞をとってみてもらってください。
 もし腫瘍の疑いが減ったのであれば、抗生物質をもらって経過を観察することも可能です。ただ僕個人の意見としては、少しでも怪しいのであれば切除してしまうのがベストだと思います。ただ取るのであれば、それもそれで大変な手術になる覚悟は必要です。
 とてもシビアな意見になってしまいましたが、腫瘍の恐ろしさを知っているからこそ、手遅れになってから病院に訪れる(連れてこられる)動物たちを数多くみているからです。
 わからないことがあれば、また掲示板にでも載せてください。
 では、ご検討〔健闘〕を願っております。

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