獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200001-217

動物実験について私はこう考えます
投稿日 2000年1月28日(金)16時10分 プロキオン

少し長いけれども、大事な問題なので読んでね!

私は個人的に安藤さんが動物実験を実施している側の人の意見
を聞きたいと最初に述べている事を評価しています。片方のみ
の意見をそのまま信じてしまってよいのかということだったか
らです。

問題は少し感情が入ってしまい、安藤さんが攻撃されているよ
うに感じてしまったことだと思います。ただ、安藤さんに理解
して頂きたいのですが、動物実験に携わる人達はそういう不快
な体験をしてきているということなのです。

さて、動物実験が必要か否かという論議は不毛と私は考えます。
何故なら、現在社会が動物実験の上に成立しているからです。

今回のような議論は各種のメデイアに何回もとりあげられてお
ります。中でもよく目にするのが、「私は肉を食べない病気に
なっても薬1つ飲んだことがない」という意見です。

これはまったく意味をなしていません。肉を食べなくても野菜
果物は食べますよね。野菜・果物には肥料も農薬も使われてい
ます。これらには使用基準がありますし、残留農薬基準が存在
します。これら基準値は動物実験によって決められています。
水道の蛇口を捻れば、水がでます。これにも残留塩素の基準が
あります。
デパートのベビー服売場では製品を袋から出して販売すること
は禁じられています。これは赤ちゃんの肌着に他の服装品から
ホルムアルデヒドが移行するのを防ぐためです。これにも検出
限界値が定められています。ベビー服だけでなく他の家庭用品
にも基準が定められているものは多くあります。住宅について
も新建材・壁紙・接着剤等様々なものがあり、人が快適安全を
求める限り、そこに安全基準は存在します。動物実験が実施さ
れることになります。

電気もおよそ3分の1は原子力発電です。原子炉で使用される
核燃料も被爆線量の基準があることは昨年の臨界事故でご存じ
と思います。これも動物実験で成立しています。

医療に関わらず、衣食住の全てに置いて我々の生活はこれだけ
動物実験の上に成立しているのです。よしんば我々1人1人が
これらを拒否して屋外で裸で生活していたとしても、我々の両
親が動物実験から受けてきた利益はどうやっても否定はできな
いのです。
利益を享受してきた人間がそれを頬かむりして、動物実験に携
わる人々を攻撃することに反感が生じるのです。
こうまでも、動物実験の利益にどっぷりつかってしまっていて
実験者を非難できる者などいようはずがないのです。

動物実験をされている方達は、皆一様に実験を減らしたいとお
っしゃっています。動物実験は必要・不必要というレベルの問
題ではなく、すでに避けられない既成の事実なのです。

だったら、答えは1つしかありません。少しでも減少させるし
かないのです。
この際に 動物実験に携わる人達を極悪人のごとく攻撃するの
は誤った方法です。それを実効してくれるのは彼らしかないの
です。決して愛護団体の人間ではありません。
この点が動物愛護団体の指導者の方の誤りです。
両者の目的は同じものを目指しているはずなのです、それが何
故ぶつかりあわなくてはならないのですか?

そもそも、よく使い回しされているあの一連の写真パネルの出
所はどこなのでしょうか?
あの写真を見る限り、あれは「動物実験」ではありません、「
動物虐待」です。出所が明らかであるのなら、大学・研究機関
・製薬会社であろうと虐待を直接止めさせれば良いのです。
何故、動物実験全般に話を広げて問題の解決を遅らせ、複雑に
してしまったのでしょう。

人間が豊かさや利便性を追い求める限り、動物実験はなくなり
ません。商品の不買運動でなくなるほど底の浅い問題ではない
のです。動物実験に対する認識がまだ不足しているだけにすぎ
ないのです。
我々人間は犠牲になった実験動物達に対してすでに払いきれな
い量の負債を背負ってしまっているのです。
少しでも減らす方向で考えて行くしかないのです。

Autumnさんも かなり冷静にお話されていると私は思い
ます。本当はね、もっと怒りをぶつけるだけの権利があると私
は感じています。
ただし、それは安藤さんに対してではありません。動物愛護団
体のやり方に対してのはずですし、客観的に見ても言葉を選ん
でいると思いましたよ。

そして安藤さんにお願いですが、ここでのことは所属の愛護団
体には話さないで下さい。このような議論があるとどうしても
ここでの内容が愛護団体の理論武装の道具にされてしまう恐れ
があるからです。レスをした皆さんもそんなつもりはないはず
ですし、残念な結果になってしまいます。
また、クレームのDMも管理者の方へやってきます。これはこ
ちらのホームページでも例のないことではないのです。

両方の意見を聞きたいというのが出発点であるのなら、あとは
安藤さんご自身が判断されることです。それで 良いのではな
いでしょうか。
動物実験は避けられないが減らす方向に進むべきであるという
のが私の考えです。愛護団体に糾弾されなくてはならないよう
な意見ではないと思っていますが、現実はままなりません。

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