意見交換掲示板過去発言No.0000-200002-153
マルチレス3題 |
投稿日 2000年2月16日(水)16時45分 プロキオン
2月16日のwーニャースさんへ 動物愛護のBBSに書き込みをされていたニャースさんと 同じかたですか? 腫瘍の件ですが、「お乳のところ」にできているのなら、 乳腺腫の可能性が高いように思います。 そして、残念ながら猫の乳腺腫は80〜90%の確率で悪 性です。主治医の先生はその辺りのお話をされたのではな いでしょうか。 悪性か否かは検査で分かりますが、複数できているのと確 率から言えば、検査結果をまっているよりも、切除と検査 を同時進行でされた方が望ましいと考えます。 転移病巣が形成されてからでは、手術も意味がありません ので。 2月16日のwachiさんへ コロナウイルス抗体が400倍というだけでは、現在進行 中の下痢との因果関係は証明できません。 コロナウイルスがそれこそどこにでもいるウイルスであり、 抗体価もそれ程高いとも言えません。もとより、この検査 はFIPの検査が目的で実施されたのですよね。 疾病との因果関係を知りたいのなら、ペア血清で測定する 必要があります。同じ検査機関で2管以上の抗体価の上昇 を確認しなくては、ウイルスに接触したことの証明にはな りません。 証明を希望されるのでしたら、プレ血清の他にポスト血清 の検査をされると良いでしょう。 ワクチン中の牛血清が抗体価に及ぼす影響ですが、これは 我々臨床獣医師には分かりません。 普通ウイルスを培養する際に牛の血清を使うことはあると 思いますが、厳密には牛の胎児の血清アルブミンが望まし いのですが、価格の点と量の問題から成牛の血清(アルブ ミンとグロブリン)を使用することもあると思います。 どちらにしても、使用する際は濾過滅菌されていますので 野外のコロナウイルスが混入することはありません。 したがって、影響する要因があるとすれば、グロブリン中 の牛コロナウイルスに対する抗体がキャリーオーバーして 猫のコロナウイルスと交差反応しているか、被験者(猫) の血液中に形成される抗牛アルブミン抗体が影響している か等です。 しかし、これら以外にも予見しえないインヒビターが存在 していることは日常多々あり、検査に携わる者を悩ませて いることは珍しいことではありません。 ワクチンとFIP抗体検査(猫コロナウイルス抗体検査) との影響は本当のところはまだ未確定なのです。この問題 は推定理由の1つなのです。 牛の血清に由来する原因であるなら、そう長期間続くこと はありません。いずれ、抗体価は下がってきます。 ワクチンの詳細な製造工程やウイルスの精製過程は推測は できますが、メーカーでないと知り得ないことの方が多い のではないでしょうか? メーカーの研究者にお尋ねすべ き質問かと思います。でも、そういう理由ですから、回答 を得ることも難しいでしょうね。 2月16日の岸田九州男さんへ マイクロチップが普及しないのは、多くの飼い主さんが必 要性を感じていないからですね。この点は私も同感です。 で、実際問題としては全ての犬に適用しないとあまり意味 がないのと、データーをどこが管理するのかという問題が あります。 厚生省と日本獣医師会の検討案ではある民間団体が管理す ることになっていますが、新たに設立するのであれば、そ の運営費をマイクロチップに上乗せしなくてはなりません。 既存の団体であっても、委託料は必要です。北浦さんの挙 げられた価格でおさまるかはわかりません。 それと同時にもっと心配なのが、日本中の犬と飼い主のデ ーターを迷子捜しにだけ限定して使用するのかという問題 です。岸田さんが気にしていたプライバシーに関する心配 です。公的機関が管理していても、漏洩はあると思います。 そして、実効性の問題ですが、これは現行のチップに寄せ る期待が大きすぎると感じています。 チップでは犬を捕獲しないと個体ナンバーが読みとれませ ん。残念ながら、今の日本では犬の捕獲システムがなくな ってしまっています。誰でも触ることができる犬のみが保 護されますが、保健所へ連絡すると殺処分されてしまうと して、連絡されない事例が多いようです。迷子犬を捜す飼 い主はまっさきに保健所や管理センターに駆けつけますの で、出会うことなく終わってしまうようです。 管理センターで巡りあえる場合は、マイクロチップのある なしはあまり影響しないように思います。迷子札の方がむ しろ有効性が高いと考えられます。 犬を捨てる人達は、最初からマイクロチップを入れるとは 考えられませんしね。 自分で挿入できるかという問題は、これはできません。獣 医療行為に相当するということで国と認識の一致をみてい ますので、飼育者が購入して獣医師に挿入して貰うという 現行の方式に落ちついています。 # 動物病院で購入するということになります。 こう書いてきていると私がマイクロチップに反対している かのように受け取られるかもしれませんが、そうではあり ません。実効性を確保するためにはクリアーしなくてはな らない問題が多々あり、マイクロチップに寄せられる期待 が大きすぎるように感じているだけなのです。 現状ではデーターの一元管理が行われていませんので、個 体識別と言っても、自分の犬であることを第三者に証明し て貰うくらいの意味にしかなっていません。 マイクロチップについては獣医師の間でも意見が分かれる ところです。私もどうすべきとは考えていません。それこ そもう少し、具体的になってこないと考えようがないので す。 |
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