獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200003-179

ちょっと独り言
投稿日 2000年3月20日(月)03時34分 tsujimuratakayuki

僕の独り言。
まずは飼い主さんへ(僕も含めて)。
皆さんは「予防医学」という言葉を知っていますか?この言葉は人間だけに適応さ
れるべきではないのではないでしょうか。
会社や学校などで受ける健康診断などがこれにあたりますが、社員の健康を管理す
るのが会社の1つの義務であるように、犬や猫や鳥などの飼い主である以上、健康
管理は我々の義務ではないでしょうか。それを獣医さんの仕事にしてしまっていま
せんか?私は以前に頼れるのは「知識とつながりと心有る獣医」ということを書き
ました。この知識とは何でしょうか?我々素人が、僕の場合なら犬に起りうる疾患
について全て知ろうと思ったら、それは膨大な量であろうかと思われます。僕は
学校で整形外科や内科、神経内科、精神医学など一生懸命勉強していますが、全て
の疾患を記憶しようと思ったら、僕の頭では正直無理な話です。(これで良いのか
はともかくとして) ですからせめて、獣医さんに診断された疾患についての最低
限の知識ということがまず1つであろうかと思います。そこには、原因、症状、検
査法、経過、治療法、合併症、治療法の副作用などの専門的な知識から、日常生活
上の注意点、家庭でできるチェック項目(尿便など)、栄養学的な事などあるので
はないでしょうか。そして病気の有無に限らない知識として、緊急時の連絡体制の
確保・確認、救急処置の知識(いわゆるABCなど)、加齢により起りうる退行性
疾患(いわゆるからだの老朽化)についての知識(人間と同様のことも多いのでは?
)、若年性または動物の種族特有の病気についての知識などがあるのではないでし
ょうか。最後の方に書いたことは、予防接種の時などに、聞けばある程度答えて
くださるのではないでしょうか?全てについては無理にしろ、その事に対して我々
の五感は敏感に対応することができるのではないでしょうか。(逆に気にしすぎも
よくないとは思いますが。)そして予防的な意味での適切な食事と運動、環境など
が調整されるであろうし、そうすれば気がついたときには重度の糖尿病とか高血圧
とかいうことが少なくなるんではないでしょうか。そしてそれにプラスαとして、
定期的な健康診断などで獣医さんの手を借りるというのが、本当なのではないでし
ょうか。Lifeという言葉の3つの段階として、生命、生活、人生というものがあり
ます。特例を除いて生命にアプローチするのは獣医です。しかし生活にアプローチ
するのは獣医さんだけでなく我々なのです。日頃からいかに我が子を観察するか、
いかに生活を適切な充実した楽しいものにするか、一番考えなければならないのは
我々です。人生とは生活の積み重ねであり、我家族ゴールデンの寿命は平均13
年程ですが、その人生をいかによりよいものにするかは我々の知識が愛情と同じく
らい必要なのだと思います。なにはともあれ獣医と飼い主との「協業」を目指す
べきではないでしょうか。自分は素人やからと思わずに、もっと欲を持って、知ら
ないことを恥ずかしいと思うくらいになりませんか?知らなければ、それですんで
しまうのかもしれませんし、知らなかったから早く気付いてあげられなかったとい
うのは倫理的にも問題ないだろうし。でもそんなことじゃないじゃないですか。
家族であり、大切な命なんですから。倫理的とかそんなんじゃなく、我々が日頃から
まもってあげずに誰が護るんですか。だから勉強しましょうよ。

 獣医さんへ。
@私は患者さんに不幸にも「先生」とよばれる職業につきます。なぜ不幸なのか。
先生といわれた瞬間から、見えない壁ができあがるからです。学生の時はは殆ど
の患者さんに「●●くん」と呼んで頂き、世間話や愚痴や嬉しかったことや不安
や希望や目標など、比較的隠さずに話して頂けますから、会話の中から比較的
信憑性のある問診がとれます。しかしその相手が「先生」になると、思うように
話せない人や良く見せようとか悪く見せようとか嘘をつく人、先生のいう通りな
すがままの人、必要以上に気を使う人など患者さんやご家族を含め、態度が変わる
のが現状のようです。ですから今一度「先生」という言葉の重さを再確認し、始め
て先生と呼ばれた時のうれし恥ずかしい気持ちや、患者を思う気持ちに変わりがな
いか確めて頂けませんか?研修医の時などフレッシュな時に、ある先生の発言や態
度などに対して、あれはおかしいとか、もっとこういう言い方をすればいいのにと
か、もっとこういうアドバイスも必要だろうとか、そんな気持ちを忙しさのあまり
忘れてしまっている方はいませんか?医療関係の世界でも進んだところでは、
「先生」をやめて●●さんとフランクに呼び合うようになってきていると聞きます。
前述のような事もその1つの要因だと推察されます。「先生」という壁がある限り
飼い主からの本当の要望や聞きたい質問などを、聞き出し、真に満足される治療を
施す事は困難であるかと思います。患者側の人間からいえる、『現実』です。本当
に何気ない素振りや言動に、飼い主は敏感に反応します。好くしてもらおうと考え
る人もいるでしょう。説明と同意というところから説明と同意と協業という所まで
いくのが、理想的な医療なのではないでしょうか。

A私が獣医さんを評価するとき、何を見ているか、お教えします。
それは知識や、保護者でもある我々への態度ではありません。
例えば、怖がって嫌がっている愛犬を、ロープを引張っていきなりゴイゴイ引張っ
ていないかどうか。最初の選択肢としては、強引さでなく、まずしゃがんで同じ目線
になってあげるのが、優しさだと思うからです。現に、私の愛犬の場合、同じ目線にな
ることで、反応が変わる事もあります。
もう1つは、病院側の手落ちや、なんらかの理由で何度も検査しなければならない
時などや、また待ち時間が長かった時などに、飼い主に、何回もすいませんとか、
お待たせしましたとか、いうことです。もちろんそれも正解だとおもいますが、
一番しんどいのは患者である患者であることを、忘れないで欲しいのです。患者
との関係と同じ様に家族との関係が大切なのも事実ですが、思いやりの問題ですかね。
知識は獣医さんならあって当然のことでしょうし、もちろん知識にはゴールはないで
しょう。
ですからまず人間性をこういった所で判断しています。
ちなみに愛犬の治療にあたってくださる先生は、しゃがんでセディをつれて
いってくれました。設備だけでなく病院で働く人の質の良さが伺えた瞬間でした。

B待合室にも少し専門書を置いたりしてもらえませんか?わからなければ教えてくだ
さればいいじゃないですか。パンフレットなどでもいいでしょうし、文献のカタログ
などもいいでしょう。限られたポスターだけでは、知りたい疾患について知ることが
できません。多方面からの家族指導・教育をお願いしたいです。診断を下した病気が
どんなものなのかを、言葉だけでなく、プリントなどを作成しておき、家でまつ家族
全員に話が明確に伝わるように、また、飼い主の知識向上の為にも、お願いします。
家族が変に知識をつけることを嫌う先生も居られるかとおもいますが、貢献という
概念や、医療はサービス業でもあるという考えでは、あくまでお客様である患者様
を一番に考えて欲しいのです。儲けがどうなるかは、わかりませんが、予防医学に
もよりいっそう力をいれていって頂きたくおもいます。

質問です。
@犬や猫など動物に対する義肢・装具などは、開発されているのでしょうか?

お詫び
・僕みたいな若輩者が、いろいろ生意気なことをいってしまいました。聞き流す人
もいれば、反論する人、共感する人などいろいろ居られるとおもいます。ほんとに
今おもいついた事をダーって書いたので、失礼な文章があれば、ここでお詫びさせ
てもらいます。

最後に
・愛する家族が、病気や怪我や事故にあい苦しんでいる方が沢山居られると思います。
どうしたらいいのかわからない。自分がいけない。いろいろ悩んで居られる方が
沢山居られると思います。過去の思い出を大切に、そして現状を受け入れ、出来る
範囲のことを、してあげてください。逆らえない運命があるとしたら、せめて現状
で出来る限り、楽しく過ごさせてあげてください。それはその子によって違うだろう
けど、飼い主さんが一番よく知ってらっしゃるでしょう。散歩かもしれないし、
食べる事かもしれないし、一緒に主人と過ごすことかもしれない。最近CMでやって
ます。21世紀は他の生き物と共に生き...なんとかってユニ●ロのやつ。僕らは
20世紀から他の生き物と共に生き、悩み、苦しみ、喜び、励まされて生きている。
それが思い出になっても、きっと僕らは幸せ者なんですよ。彼らも。だから今から
はじめましょうよ。きっと彼らも幸せなんですよ。悔いたり悲しんだりばっかりじゃ
彼らが、心配して幸せが減っちゃうかもしれないし。がんばりましょ!笑顔です。

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