獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200003-298

panchi様
投稿日 2000年3月28日(火)03時45分 はたの

suzuki様
 ご意見と、適切なフォローありがとうございます。

見ておられるみなさま。ペットを亡くされたかたも多くおられるようで、少しでもこのやりとりがお慰めになっていればいいのですが、もしご不快でしたら、簡単なもので結構ですから直メールください。
 獣医師のみなさま。参加されづらいかもしれませんが、私の誤解等ありましたら、ご訂正ください。

panchi様
死を無駄にしたくない、わずかであっても、飼い主の立場からできる範囲で、よりよい獣医療の実現の役に立ちたい、というのは同じです。
一番最初の書き込みから見直すと、実に多くの要素が関係しています。
それぞれの要素が多くの尺度で図られています。
つまり、獣医師のあるべき姿、という要素があり、しかも、モラル、医療技術や心のケアやその他のサブテーマがあり、それぞれが、
理想として、現実として、社会が求めるレベルとして、法が規定するレベルとして、さらには判例を含めた司法が求めるレベルとして、といったように。
飼い主の側でもそうで、「悪質な」獣医とであったときできることにも、その獣医師個人に対するもの、社会に対するもの、身近な人々に対するもの、いろいろあるわけです。
これはさらに二つに分岐して、心の中でどう捉え、処理するか、
また、現実の行動として、何をするか、というように。
そのあたりがすこしすれ違ってしまつたかな、という気がしています。
さらにそこに、「動物の命の重さ」「職業免許の重さ」といったこともからんでいるので。
panchi様が、「何々なのでしょうか?」と反語的疑問文で書いておられるほとんどの点において、私もpanchi様と同じように考えています。
語感の問題でひっかかられたのでしょうね。
そして私のほうがより強く、管理を強めた場合の弊害を心配しているのも、お気持ちと合わなかったのかもしれません。
また私はpanchi様がその獣医師の言動によってどのぐらい強く傷つけられたのか、またその獣医師の言動がどんなものだったのか、正確にはしらないわけです。私の反応が物足りなく思われたのは、そのあたりにも原因があるかもしれませんね。

>運・不運だけでは片づけられないこともあります。
 運・不運にもいろいろあります。suzukiさまご指摘のように、丸投げするのと、人事を尽くして天命を待つ、のは異なりますよね。で、人事を尽くさないのが、「明らかな手抜き・ミス」になります。極端なこと言えば、泥酔して手術するとか。
>「明らかな手抜き、ミス」は、何があったらなくなるのでしょうか?
なくなったらいいなとは思いますが、なくなりはしないでしょう。ではどうやったら減らせるのか? ひとつには、獣医学教育であり、また、もっと内的な獣医師個々人の自覚であるわけですが、我々には、それを望むことはできるし望みますが、現実的に打てる手は少ないでしょう。できるのは、病院に淘汰圧をかけることになるわけです。

>一般的に期待される注意とはどのようなことでしょうか?
私は獣医師ではないし、一言で言えないから「一般的」なので、少々困るのですが、たとえば(獣医師のかた、間違っていたら訂正してください)、「肺や心臓が弱っている動物に麻酔をかける時には、若くて健康な動物に麻酔をかける時よりも慎重になって、十分な事前検査をする」といったことですね。あるいはまた、「麻酔のリスクと、得られるかもしれないメリットを慎重に比較する」つまり、肺や心臓が弱っている老齢動物に歯石取りのために麻酔をかけることはしない、けれど、苦痛を伴う腫瘍があって、麻酔下でなら切除できる可能性があり、延命や終末期の苦痛の軽減が期待できるときには、よく考える、ってことです。
>注意を払っていればミスはあってもよいのでしょうか?
 でも、十分な検査をして、よく考えても、予測が外れて動物が死ぬことはあるわけです。
これもミスには違いありません。「プロが予測をはずした」という点では。でも、それがまれだったら、責められないてしょう? いつもミスする病院には客がつかなくなって潰れる、という結果が待っています。
>動物の命は、その程度でしか扱われないのでしょうか?
これはまつたくの別問題です。上のようなこと、もっとひどいことが人間の医療現場においても起こっているのですから。社会的・法的な現実では、人と動物と命の重さが違うので(それがいいか悪いか、私がそれに満足しているかは別の問題です)、モラルを保とうとする傾向にも、人医と獣医の間に差がある可能性はあります。が、差があると言いきる根拠はないのです。

>>すべての獣医に名医たるを期待することはできません。
>心無い発言をし、飼い主に追い討ちをかけるようにショックを与える獣医師が実際にいる。それ>をどうしますか? そのままにしておくのですか?
>運悪くを認めないと言っているのではなく、運悪くが現実にあって、それを今後どうするか?を>会話しましょうということです。
 ですから、淘汰圧をかけましょう。本当に悪質なら、訴訟を起こすこともできます。

>獣医師の先生方は、F1ドライバーにあたるのではないでしょうか?
これはたとえが悪かったようです。F1ドライバーは世界に二十何人、「元」を入れても何百人。
医師や獣医師に求められる水準はたしかに普通のドライバーよりは上ですが、医療過誤・運転ミスともに、業務上過失致死(獣医師では異なりますが)で裁かれる、という点ではよく似ています。逆に言うとわれわれは運転するとき、かなり厳しい注意義務を負っています。で、忠実に注意義務を守っていても、事故を起こすことはあります。起こしていい、とはいっていませんよ。でも、起きてしまうのです。その時、F1ドライバーのように上手に回避はできません。注意義務を守って運転していて事故を起こしても、その責任は負わされます。ですが、「おまえがF1ドライバーなみにうまくなかったから」を理由に、「ミスに相当するよりも重い罰」を与えられたら困りますよね。
これが、「平均的…」ってことになります。
で、何度も書いてますが、酒酔いなどの「悪質なドライバー」をかばえ、というのではないのです。

>ICとはインフォームドコンセントのことと受け取ってよろしいでしょうか?
>自分は知っている、だから、相手も知っているだろう。は危険ではないでしょうか?
ひとつには分量の問題があります。また、こうしたところへ関心を持って来られるかたにあまり子供向けみたいに砕いて書いてもかえって無礼になる、と私は思っています。もちろん、panchi様はご自身のお考えに沿って、情報を広められたらよいと思いますよ。

>獣医師の先生により、得意科目があるのだとしたら、私は病院を一個所に決めなくてもよいので>はないかと思います。
>何個所か、通うところを決め、そこで信頼を創り続けることを私はします。
 suzuki様ご補足のとおりです。

>(引用者加筆、獣医師と)友人になるとどんな事が行われるのでしょうか?
>友人のペットだから気を使って診療していただけるのでしょうか?
 まさか。そんなことをする人とは友人になりたくはありません。
>もしくは、友人だからミスを許す事ができるのでしょうか?
 少しはありますね。彼または彼女を友人としてよく知っていれば、その判断をより強く信頼できます。ミスが起きた時、元となった判断をより強く信頼したのは自分なのですから、彼または彼女を責める度合いは減ります。むしろ、ミスの被害を受けた動物に対して、自分の責任を強く感じるでしょうね。インフォームド・コンセントもこれと原理は同じで、我々には説明される権利があるが、選択したという責任も生じるのです。
>もし、私に獣医師の友人ができたら、ともに医療に違いを創ろうができたら、最高にうれしいで>すね。お互いに甲斐があると思うことができたら。
まったく同感です。
飼い主と獣医師は潜在的には対立関係にあります。金銭も介在します。完全に心を割って話し合うのは困難です。けんかするべきではありませんけれど、緊張関係なのはしかたないのです。
そもそも、友人の獣医師とは、「獣医師と畜主」の関係にはならないほうがいいぐらい、と思っています。少なくとも「お友達価格」で治療してもらうことは避けるべきでしょうね。
そのほうが、フランクに話せますから。畜主は獣医療のどこを不満に思うのか、獣医師は畜主のどんなところに困らせられるのか。
無理に親しい友人になれずとも、利害関係のない獣医師と話すだけでも勉強になります。その勉強は、たぶん、自分が病院を選択するときには自分に役立ち、いい獣医師に巡り合ったあとには、説明を素早く理解できるという点で、獣医師にも、自分にも役立つでしょう。

>獣医師全体の問題として扱う必要があるのではないでしょうか?
>現状、そういう問題について、獣医師の先生方がどんなことをしているのか私にはわかりません。>何もしていないとは思いたくないし、思っていないです
「何もしていない」とは私も思いませんが、私たちが満足するほど強力に何かをやっているとは思えません。また、そうした強力な管理には弊害もあるでしょう。

>嘆きは、あってもいいのではないでしょうか。
 用語の問題ですね。私には、panchi様はすでに嘆くのをやめて、「悲しみ」ながらも、何かを始めようとしておられるように思えます。

傷ついた心をどうするか、と、医療ミスを減らすためにどんな具体的なことをするか、は違う問題でしょう。悲しみに駆り立てられてであっても。
panchi様をよく存じ上げているわけではないのですから、お心に触れるのは差し控えます。ただ、私のやり方は、こんなようなことを考える、ってことですね。シンプルな悲しみよりもやりきれない思いこそが苦しいのですから。

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