獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200004-162

猫の血液検査
投稿日 2000年4月15日(土)19時10分 岩谷

血液検査について

里親探しを長年している経験からですが、、、。
私は、猫を保護時、ほとんどの猫に血液検査をしています。
外見上、きれいな子達は100%陰性です。
今まで、1匹FIV猫を保護したことがあります。
また、東京にいたときの近所のおばあさんの猫が白血病でした。
FIV猫は、皮膚炎等になっており、汚かったですね。
また、近所のおばあさんの猫も怪我が治らない等の症状がありました。

外見上のきれいさ等も、健康を診断する上でとても大きな要素と思います。
病気の子は、毛並みがきれいでない、歯茎が白い、リンパ腺が腫れている、
怪我が治りにくい等の、何かしらの特徴があるものです。

NSさんの子猫ちゃんはどうですか?

獣医さんがおっしゃるように、生後1カ月くらいの子猫から血液を採るのは
とても難しいようです。
(もちろん、上手にできる獣医さんもいらっしゃるでしょうが、、、)
首の太い血管から取らなければ取れない場合もあり、危険なリスクも
伴うと聞きます。
そう考えると、果たして、1カ月の健康な子猫に、リスクを伴う検査をする
必要が、NSさん側にあるのでしょうか。

普通里親さんが血液検査を要求する場合、2匹目を迎える等の理由があります。
もし、そのような理由がなく、1カ月の子猫に、血液検査を要求するなら、
そのもらい手さんの要求は、ただ単なる、その方のエゴでしかありません。
なぜなら、猫をもらうということは、猫の全存在を引き受けることだからです。
もし、子猫の血液検査でエイズ、白血病が陽性と出たとしましょう。
きっと、そのもらい手さんは里親になることを断ってくるでしょう。
そしたら、その子猫ちゃんは、血液検査をしたことで、今後里子に出る可能性を
100%閉ざされることになります。

猫を巡る現状では、猫の需要と供給は(もらいたい人と、あげたい人は)
あげたい人が圧倒的に多いと思います。
簡単にいえば、猫は買い手市場なので、もらい手さんが強いわけです。
猫好きの方たちは、とてもすばらしい方が多いです。
しかし、残念ながら、消費者感覚で、カタログを見るように、猫ちゃんを
選ぶ方もいるのが現実です。

NSさんは、もらい手さんとよくお話をして、ご自分の判断で、子猫ちゃんの
血液検査を考えてください。
獣医さんのおっしゃるように、お伝えしてもよいと思います。
母親と一緒の子猫ちゃんでしたなら、健康診断をかね、母親の血液検査を
してもらうと、子猫ちゃんの健康状態が、およそ分かります。

血液検査はあくまで、猫ちゃんの健康チェックの一手段であって、猫を選ぶ
ためのチェック機関になっては悲しいですよね。
エイズ、白血病のキャリアの猫ちゃんでも、発病しなければ、普通の生活
が出来るのですから。
むしろキャリアの猫ちゃんこそ幸せになって欲しいですよね。



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