獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200005-410

きたむらさまへ
投稿日 2000年5月30日(火)20時30分 あんどう

きたむらさん、せっかちで、心配性で、純粋なかたですね。

 ペットショップの流通システムについて、あまりご存じなく返されてしまったのですね。ショップにいる子達は、「商品」です。 返品された「不良品」の行く末はあまり明るいものではないでしょう。 ですが、不良商品の返品が度重なれば、商品仕入れのチェックが厳しくされ、素人ブリーダー・悪徳ブリーダーによる、血統や遺伝などを無視した、金儲け主義の繁殖を減らす事につながるでしょうから、結果的には良心的なブリーダーによる、純血種の維持のためによいかもしれませんね。

 それから、子犬の心臓が悪かったとしても、きたむらさんのせいではありません。 生まれ持った病気がなくとも、苦しみも、死も、この世に生を受けた以上避けて通れない事です。 愛する動物の苦しみを見たくないのは人情ですが、高額な治療を受けさせられなくとも、命ある限り愛して世話をしてやる事こそが重要なのではないでしょうか。 ペットにとって、愛する人がいつもそばにいてくれるだけでも、幸せではないでしょうか? 苦しみを取り除くための方法は、手術以外にもいろいろあるはずです。 

 獣医師のたった一度の判断で性急に返品を判断され、その子犬に対して、申し訳ない気持ち、悲しい気持を持たれているのは、既に情が移っていらっしゃるのではないでしょうか? せっかく縁あって迎えた子犬が、天寿をまっとうして死をむかえたなら、その共に過ごした日々や死から得るものは多いでしょうが、手放した事による殺処分では後悔だけが残りませんか? 今から引取りなおせば一生後悔する事は避けられますよ。 どうしてその子を飼うことにしたのか? もう一度はじめて会った時のことを思い出してみてください。

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