獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200005-89

犬の去勢
投稿日 2000年5月9日(火)16時43分 Mon

雄犬の去勢のメリットは

・前立腺の病気の予防
この病気は10才ごろや高齢に近くなってから、
発生する子が多いようです。その時に去勢し
てもいいのですが、やはり老齢に入ってから
手術をするのと、若い時では犬自身の負担が
違うと思います。

・マーキングやメスの匂い追いをしない
一度発情して交尾や腰ふり行動をしてしまっ
てから手術しても、消えない場合もあります。

・ケンカ、脱走がなくなる
発情による脱走で迷子になったり事故に合う犬の数
も多いのです。

デメリットは

・太りやすくなる
これは雄にはあまり影響ないようです。
元々の体質や食欲、太りやすい犬種は注意が必要ですが。
ダイエットフードの使用や運動量の増加などをしてあげれ
ば防げます。

・手術による事故の可能性
極まれに麻酔による予期しない死亡などがあります。

欧米では「犬は人間が管理するもの」「犬は社会的な
生き物」という考えが徹底しているので、公共の場
(街、乗り物、喫茶店、公園、会社など)で人と社会的
に生活するには、躾と合わせて去勢や避妊は必要なも
のとされています。また、長い一生を発情の度に悶々
とさせるのは、逆に犬を苦しめることだ、というのも
向こうの考えです。

しかし日本では「自然のあるがままがいい」「犬はケモノ
で公共の場はだめ」「多少吠えても唸っても犬だからしょうが
ないでしょう、飼い主が困るだけだからいいわ」という考え方
が根強く、最終的には飼い主さんの考え次第です。
「うちの子はうちの庭で暮らすし、他の犬ともつきあわ
ないからいいわ」ということでしたら、手術は必要ない
かもしれません。

性格的なことは、残念ですが多少攻撃性を低くできる
だけで、暴れんぼうな犬が手術で大人しくなるわけで
はないのです。
お子さんたちが怖がるということですが、「暴れれば
脅せる」と犬が学習すると危険です。将来猛獣を飼うか、
家族として立派な犬にするかは、これからの毎日の躾で
決まります。

去勢するかしないかは様々な意見がありますが、
どちらにしてもあなたが後悔しない結論が大切だと
思います。

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