獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200008-127

トキソプラズマの生活史と感染経路
投稿日 2000年8月10日(木)12時33分 Suzuka

トキソプラズマは、猫の小腸内で有性生殖を行い、その結果できたoocystが
猫の糞とともに排出され、これが胞子形成後に感染性のある成熟oocystcに
なります。
この成熟oocystが経口的に新宿主内に入ることで感染が成立(新宿主の組織
細胞へ侵入する)します。
この新宿主が再び猫であった場合には、この生活史が繰り返される訳ですが
猫以外の温血動物の場合では、無性生殖によって虫体増殖を繰り返しながら
宿主の組織細胞へ侵入していきます(嚢子と栄養体の形)。

すなわち、主な感染経路は、感染猫の糞からの経口感染ですが、それ以外の
感染温血動物からの感染経路も存在します。

ですから、フェレットに限らず、草食獣においても、終宿主とはなりえない
ものの中間宿主的な役割を果たし、他動物への感染源となりえるため、注意
が必要です(もちろん、圧倒的に猫の糞からの感染が多いのですが)。

具体的には、不完全熱処理肉を食べないこと、またこれらの処理をする際に
汚染肉・汚染臓器からの感染に注意します。
感染家畜・感染ペットからの分泌物による経口感染や飛沫感染があるので、
これらとの接触の際には口を舐めあったりといったことは避け、接触後の
手指の清浄には十分な配慮が必要です。

まず、あなたが、トキソプラズマの抗体をお持ちかどうかが大切です。
もし既に抗体をお持ちであれば、妊娠中に初感染することはないので、あまり
神経質になる必要はありません(ただ、トキソプラズマ以外にも妊娠中に感染
すると困るものは沢山ありますので衛生管理は十分に行って下さい)。
抗体をお持ちでない場合には、前述したような点に十分注意してください。

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