獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200009-173

イヌへの体罰
投稿日 2000年9月14日(木)15時57分 はたの

「プロブレム・ドッグ 愛犬を立派な犬にする方法(パレリー・オファレル、ペットライフ社)」によくまとまっています。かいつまんで紹介すると、
・直接対決は勧められない
 理由1 反撃されて飼い主が怪我をしやすい 2 飼い主が勝ったとしても感情がもつれることがある
・しかし、飼い主が負けるよりは勝つほうがよい
・1、2のリスクがないなら実行すべき
 たとえば、飼い主が完全に上位。なのにある日洗濯機の修理にきた電気屋にイヌが吠え掛かった。この時、大声で叱りつつ叩くのが最良。「ここでは誰がボスなのかお前は忘れたのか。もし、電気屋に噛みつく必要があれば、わしが噛みつく」との意味で。

 話題になっている例では、飼い主が完全に上位ではないご様子なので、その意味ではあまりうまい方法ではなかった、より計画的に順位を安定する手練手管を使うほうがより良かった、のは確かでしょう。
が、飼い主が「限度を超えた」と感じた突発事に際して叩くことそのものはむしろ良いことだった、と考えられるでしょう。計画的に「暴力でしつける」わけではないのですから。ヒトは「叩く」行為に抵抗を感じますが、イヌにしてみれば、怒鳴られる、リードをがつんとひかれる、体を抑えられる、望んでいないのに抱き上げられる等も、叩いたり蹴られたりするのとジャンル分けはしておらず、程度問題に過ぎません。
後は実際のやりかた、「加減して尻を叩く」に少し改善の余地がありそうではあります。
尻を叩くと腰をいためやすいので、腿にしておくか、口吻を掴む、首筋の皮を掴む、首筋掴んで持ち上げ、振り回し、横倒しにし、上からのしかかる、なお抵抗やまないなら(ヒトがイヌの)首筋に噛みつく、上位のイヌが腰で下位のイヌの肩を突き飛ばすのを真似してヒトが足やすねの外側でイヌの肩を水平方向に鈍く蹴る、イヌを仰向けにして転がす、といったイヌが受け取りやすい方法でメッセージを発すること、手加減していると体罰に鈍感なイヌになって悪循環なので、やるならしっかり、イヌが鼻を鳴らしてごめんなさいするまでやって、一回で片づける、といったような。

やり方には改善の余地があるけれど、倫理的に悩まれる必要はない、と思います。

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