獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200009-217

安楽死
投稿日 2000年9月18日(月)23時48分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。自宅で安楽死させたことも、その必要がなかったので自然死に任せたこともあります。
安楽死の必要性は急に感じられることもありますし、そもそも検討するとき、詳細がわからずに「するかしないか」を決めるのは困難でしょう。お気がすすまないとしても検討だけは重ねておかれることをお勧めします。

安楽死の可否や基準は個々人の判断によりましょうが、私は以下のようにしています。
1 時期 ア「生の苦痛が生の喜びを上回ってきたとき」 撫でられて嬉しい、何を食べて楽しい、といったプラスを、覚醒時の苦痛や、眠っているときにうなされる等といったマイナスを上回ったとき。具体的には近くのかたが判断されることになりましょう。ヒトが多忙でつきつきりになってやれずにプラスを大きくできない状況も、残念ではありますが、上の差し引き計算に含めざるを得ないでしょう。
イ 「死臭が感じられはじめ、なのに、自然死まで時間がかかりそうなとき」ニオイをコトバで説明するのは困難ですが、たぶん直感的におわかりになると思います。

2 方法 「苦痛が少ないこと」が最重要視されるべきと思います。物理的な方法も考えられますが、実施に失敗すると苦痛を大きくしてしまいますので、薬品を使われるのが現実的でしょう。犯罪に悪用されたこと等もありますから、薬だけ処方してもらうのは難しいでしょうから、獣医師の往診を仰ぐことになります。以下はまったく個人的な価値感によりますが、私でしたら、自分で抱いておき、針を血管に刺すのは獣医師に任せるとしても、薬液が入った注射器のポンプを押すのは自分で行います。最後の責任を回避したという後悔はしたくありませんので。外から見える限りにおいては苦痛は皆無ですし、暴れたり、筋肉の反射が起こることもありません。ただ、病院嫌いの個体が多いですから、消毒液の臭いで不安がらせないように、薬液の注射器へのセットは別の部屋で行うとか、獣医師にも白衣でなく普段着で来訪してもらうとかといった配慮はお勧めできます。また、ヒトの悲しみや不安を伝えないように、大騒ぎせず、静かに穏やかに送ってやるのがよいと思います。


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