意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-42
レス2題 |
投稿日 2001年4月5日(木)20時50分 プロキオン
もうすぐ狂犬病の集合注射が始まるので、顔出しできない日がやってッくると 思います。それまでに少しレスのお手伝いです。 4月5日のひとみさんへ 卵巣が片方切除できていないわけなのですが、避妊という目的に限っていえば 主治医の先生がおっしゃるように問題はないでしょう。 疾病について言えば、子宮の断端がどのくらい残っているかによって、「断端 子宮蓄膿症」の可能性が残されていることになります。この可能性については 手術された先生でないと推測できないのですが、そう慌てなくても良いと考え ます。すでに2回発情に伴う出血が見られているのが気にかかりますが、蓄膿 症の徴候が見られた時でも間に合うのではないでしょうか。 乳腺腫については、これは何とも言えないです。確かに未発情の時期に手術を 実施してしまえば、発生率は著しく低くなると考えられますが、やはり統計上 の話しですので、100%発生しますとかしませんとかは言い切れないのです。 私の実施した避妊手術の中でも過去2回卵巣の靱帯が切れたことがあり、(い ずれもビーグル犬)、お腹を横に大きく切って卵巣の動脈の断端を捜しまわっ たことがあります。血管や靱帯に止血目的でかける鉗子の位置から切れており、 卵巣の向こう側で切れているので、このような場合でも卵巣の切除はできてい ます。したがって、鉗子をかける位置が本来の位置にかかっていれば、卵巣の 所在が目視できなくても卵巣があるはずの部位の切除は可能なはずなのですが 主治医の先生が「見つからなかった」と言われている以上は、やはり本当に見 つけることができなかったのでしょう。 卵巣はお腹の中といっても背中側にあります。普通は子宮角の分岐部から子宮 角を辿って卵巣を捜しますので、これらがなくなってしまっている現状では、 残された卵巣を捜すのは容易ではないでしょう。かなり大掛かりな手術になる ことが予想されます。 4月5日のAKIさんへ 「そ嚢炎」という診断は確かなことなのでしょうか? おおよそ鳥類というのは、非常に広い範囲の生物であり、同じ鳥類といっても ライオンと猫どころの違いではありません。一つの種類として扱うには少々ど ころか、かなりの無理があります。 鳥の中には、盲腸が2つあるものもいれば、これを欠くものもいます。胆嚢が ない種類もいます。鳥類に特有と考えられている「そ嚢」ですが、これすらな い鳥もいるのです。 (小鳥の飼育者は、この答えがわかりますか?) したがって、鳥というだけで種類を問わないで疾病を考えることはできません。 「そ嚢炎」に罹患しやすいのは、採食活動において「そ嚢」への依存度が高く、 なおかつ、本来の食性と異なる餌を食べている鳥の場合に多く見られます。 近年、動物病院で言われている「そ嚢炎」は、出典が同一であることが多く、 そのまま、全ての鳥の診療にあてはめて考えて良いのかと疑問を感じています。 それこそ過去に何百羽と病理解剖してきた私の経験からは、鶏は「そ嚢炎」に 罹患しにくいと考えています。そ嚢に食物の停滞があるときは必ず他の疾病要 因が存在していました。普通は異物の誤嚥であったり、迷走神経の麻痺であっ たりです。 「頭を下げた時に胃の内容が逆流してくる」と記載されていましたが、もし胃 の内容が本当に逆流してきているのなら、「そ嚢炎」とは少し違うように思え ます。 狂犬病の犬が涎をダラダラ流すというのは「咽喉頭麻痺」によって涎を飲み込 めなくなるからです。牛の例ですと、「イバラキ病」の牛は咽喉頭麻痺や食道 麻痺によって、一度飲んだ水も頭を下げたとたんにダーッと出てきてしまいま す。AKIさんの書き込み内容からは、どうもこのようなイメージが連想され てしまうのですが、実際のところどうなのでしょうか? 鶏にも食道の麻痺を伴うような疾病がありますので、そちらという可能性も若 干は考えても良いように思います。 鶏は家禽ですので、その疾病の研究は昨日や今日に始まったものではありませ ん。家畜保健衛生所や食鳥処理施設もしくは食肉検査所へ相談すれば、鶏の疾 病に強い獣医師はいます。(彼等はそれが日常の業務です) 惜しむらくは、治療が業務外であることと、鶏という生物が予防主体であり、 治療対象外とされてきた歴史があることです。治療は診療獣医師が手探りで実 施することになるので、多少のちぐはぐはいたしかたないかもしれません。 小鳥の診療も十把一からげにされている現状であり、その教科書にも結構誤り があるように感じられます。 |
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