獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200104-64

補足、2題
投稿日 2001年4月8日(日)13時03分 プロキオン

>noaさん
御近所に動物病院があるのでしたら、早急に出かけられた方が良いでしょう。
この時期は 狂犬病の集合注射のシーズンでどこの病院も獣医師が不在になり
がちです。病院へ行っても、診察してもらえないこともありますよ。
疾病の種類も循環器や呼吸器にまつわる疾病が対象に考えれますが、いろいろ
お聞きしなくてはならないこともありますし、直接患者本人を拝見しなくては
ならないことも多々あります。それにネットでやりとりしているよりは、病院
へ行かれた方が遥かに早いです。
もし、フィラリアの予防が実施されていないのなら、パールちゃんがあげられ
た疾病はまっ先に考えられなくてはなりません。
受診の時期を逸しないようにして下さいね。


>GOさん
私の手許に「どうぶつと動物園」という本があります。動物園協会が発行して
いる本で絶滅危惧種に指定されそうな状態にある本です。本というよりは会報
誌なのですが。
こちらに本川先生の講演の際の要旨が記載されたことがあります。前段はやは
り、種類は違っても一生の間にうつ心臓の鼓動の数はみんな一定で15億回で
あり、一生の間に使用するエネルギーも同じであるという話になっています。
つまり、「心臓時計」から見れば、すべての動物の寿命は等しいという説です。

で、大事なのは後半で、同じエネルギーをゾウはすこしずつ消費し、ネズミは
猛烈な勢いで消費している。違う生き物とつき合うということは大変なことで
あり、流れている時間が異なっているのだから、相手の時間・空間・価値観を
考慮してはじめて理解できるようになる。私達の価値観だけで相手の動物を簡
単に判断してしまってはいけない となっています。

この話はそうであったらおもしろいという「話のつかみ」である前段がクロー
ズアップされてしまい、メッセージとしての部分がとりあげて貰えないことに
問題があるのです。本川先生がマスコミに登場されているのを目にしても、カ
ットされているのか、編集されているのか、肝心のメッセージが伝わってきま
せん。
マスコミは一般受けしそうな点にばかり、注目しがちなのですが、ミニコミで
あるインターネットは出版部数や視聴率を気にする必要はないのですから、本
当に伝えたいメッセージは大事にしていきたいと考えます。
前提になっている説には賛同できませんが、ゾウにもネズミにもそれぞれの時
間の流れがあるという意見は私も支持していますよ!

「どうぶつと動物園」は様々な動物の飼育レポートが載っていたり、繁殖報告
なんかもあります。体温の話しなんかも興味が引かれます。鳥の体温はどこで
測ると思いますか? 大抵は総排泄孔なのですが、中には食道で測定する場合
もあるようなのです。
どのくらいの温度が良いのかという至適温度もあるのですが、「生命臨界温度
」というのもあって、王様ペンギンでは気温25度くらいですが、皇帝ペンギ
ンでは15度が限度とあります。大きさが違うだけで、姿形もよく似ているの
にこれだけ違うのですね。
逆に低い方の臨界温度はハチドリの例が記載されていました。約9度くらいに
なると休眠状態になってしまうそうです。活動を再開させるのには35度以上
の温度が必要になるそうです。
臨界温度は、爬虫類の方が良く調べられているらしく、至適温度から2〜3度
高いところにあるとなっていましたが、特筆すべきはグリーンイグアナです。
臨界温度がなんと46度になっていました。異例のことのようです。

動物と彼等の住む世界を理解するのも奥が深くて、なかなか大変です。「好き
」という以外に進むべき王道もないということでしょうか。
私信めいてしまいましたが、しばらく留守になります。スタッフの皆様には、
よろしくお伝え下さい。

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