意見交換掲示板過去発言No.0000-200107-201
レス:2題 |
投稿日 2001年7月20日(金)12時33分 プロキオン
7月19日の tanakaさんへ 以前にも同じ内容で書き込みをされた方ですよね。実際にガチョウを見て相談 に乗ってくれる方は見つかりませんでしたか? 前回の書き込みでは「趾瘤症」ではないかと思うが、顔面や頭部にも疣状物が できるのは気にかかる、他の疾病の可能性もあるので実際に診てくれる人をと いうレスをしましたが、こうして写真を見てみるとやはり「趾瘤症」ではなさ そうですね。 すでに、「乳頭腫」ではないかというSutemaru先生のレスがついてい ますが、同じ写真を見ていても私は別の見解を持ちました。 こういう言い方をすると、まるで両者が対立した意見を持っているかの様です が、ウイルス性の腫瘍というのでは、私も同じ意見です。原因ウイルスが別の ものではないかなというのが異なる点です。 前回の時点では「趾瘤症」に「ポックス」でも併発したのではないかと簡単に 考えていたのですが、どうもそういうものではなさそうです。疾病としてはウ イルスが広く分布してはいるが、このような皮膚型として発現するのは少ない のではと思います。養鶏農家でも見つければ、すぐに処分してしまうので、目 にする機会はさらに少ないかもしれません。 レスを付けた者同士で意見が異なるとtanakaさんも困惑されると思いま すが、実際問題としてはよくあることです。私ももう少し具体的に病名をあげ られると良いのですが、間違えていると恥ずかしいのでちょっと御勘弁を! ということで、実際の鑑別をどうしたら良いかをレスします。 各県には、いくつか地域ごとに家畜保健衛生所があります。その中に病性鑑定 施設を有する家畜保健衛生所が必ず1つはあります。 そちらで、疣状物の組織検査をお願いしてみて下さい。ガチョウでしたら、無 麻酔でサンプル採取できると思います。組織検査がだめでも、細胞診は可能な はずと思います。 単に病性鑑定をという依頼ですと、病理解剖までいきかねませんので、必ず生 前診断でという主旨を伝えて下さい。 電話帳を開くと、家畜家禽の疾病の相談先として家畜保健衛生所が記載されて います。ガチョウはそれこそ家禽ですので、むげに玄関払いはされないと思い ますよ。事後の対策もそちらで教えてくれるはずです。 動物用医薬品販売業には大きく分けて「一般販売業」「薬種商販売業」「特例 販売業」がありますが、tanakaさんが言われている動物専門の薬局とい うのがどの形態を指しているのかわかりませんが、一般販売業以外の2者には 疾病や薬剤の専門家はおりません。一般販売業における薬剤師さんも家畜家禽 の疾病は勉強して来ておりませんので、疾病の診断とそれに応じた薬剤の選択 には無理があります。 したがって、やはりしかるべき機関に相談された方が良いと思います。sut emaru先生が教えて下さった動物園もベテランの方なら見たことがあるか もしれません。 7月20日の ちょこさんへ 書き込みをされたお気持ちは、充分に理解できます。誠にもっともな意見で、 獣医師として胸に突き刺さるものがありました。 ターミナルケアーの部門は人間でも充分とは言えませんが、獣医療においては さらに遅れていると認めざるを得ません。どのような医療が施せるのか、ある いはどのような看護が必要なのか、それは個々の患者に応じて変わってきます ので、一概に述べることは確かに難しいことです。 しかし、それでも体系化された獣医療や看護があって欲しいと私は思いますし、 何もできなくても せめて頭だけでもなぜてあげたいし、飼い主さんの労をね ぎらうことばをかけてあげたいと考えています。それが獣医療の原点だと思う からです。 私の長女が保育園の年長さんだったとき、テレビのある特集番組で、アンティ ロープの子供がライオンに喉を喰い破られて瀕死状態にある場面が放映されて いました。 取材で現地に参加していた若手の女優さんが、それを目の前にして何もできな いといって泣いていました。 長女はそれを見て、「お父さんなら助けられる?」と私に尋ねました。「器具 も器材も薬品もないから、助けられるからどうか分からないよ。」と答えざる を得ませんでした。「でも、お父さんはなら ただ泣いてだけはいないよ。何 もなかったら、両手で傷口を押さえて血を止めようとするよ。助けようという 努力は必ずするよ」と続けました。 長女は甘えん坊で、病院へ私が出かける際、置いて行かれるのでよく泣きまし た。でも、このやりとりの後では、夜長女を残して出かけようとしても泣きじ ゃくるということはなくなりました。涙を溜めていても「寂しくても我慢する 」と言ってくれるようになりました。彼女なりに父親の仕事を理解してくれた のだと思います。 自分以外にも父親を必要としている人や動物の存在があることを知り、自分が 少し我慢することで動物が助かるなら」と考えてくれたのではないかと思いま す。 「例え、助けることができなくても、1人で死んで行く動物のために少しの時 間お父さんを貸してあげよう」と考えたかどうかまでは分かりませんが。 「何もできなくてもなぜてあげる、名前を呼んで声をかけてあげる」これは獣 医療ではなく看護の範疇かもしれません。 しかし、獣医療の原点ではあるはずです。私はこれを保育園児であった長女か ら教えられたと考えています。 |
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