意見交換掲示板過去発言No.0000-200108-101
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投稿日 2001年8月9日(木)20時15分 プロキオン
8月8日の DUKYさんへ FIVに感染した猫へのワクチン接種についてですが、獣医師によって、飼い 主さんによって、そして猫本人の状態によって、考え方が異なるかもしれませ ん。 現在、潜伏期であり発病していないのであれば、私でしたらワクチン接種しま す。口内炎と貧血でチェックしたらFIVだったという猫でも、キチンと対応 していれば、その時からすでに2年以上生存しています。 貧血と口内炎対策をとり、栄養状態を維持して、感染症を防ぐことができれば それなりに穏やかな日々をおくることは可能だと思います。 8月8日の 渡辺さんへ リンパ節の腫大というのであれば、田口先生がおっしゃられていることから想 定していくのが、順序だと私も思います。 主要な部分を田口先生に先をこされてしまいましたので、「リンパ肉腫」につ いて書きます。 腫瘍には、上皮性細胞から形成されるものと、非上皮性細胞からなるものとが あります。前者の悪性のものを「癌腫」といいます。元が上皮性細胞ですので お互いに集まりあって集塊を作ろうとする性質があります。したがって、腫瘍 と健康部との境界線がわかりやすいものが多くなります。 これに反して、肉腫の場合は、お互いに結合しあって集塊をつくろうとする性 質に乏しく、腫瘍細胞が健康な組織へ浸潤しやすい特徴があります。 リンパ肉腫ですと、腫瘍細胞がリンパ球ということになり、この浸潤性に拍車 がかかります。1つのリンパ節だけでなく、多数のリンパ節に波及しているこ とが多いのものです。このため外科的な対応がとり難いとされる所以です。 プロポリスやサメ軟骨は、それらが免疫力を高めて腫瘍細胞を攻撃するという 目的で使用されるのら、理屈の上では疑問符がつきます。 リンパ肉腫は、腫瘍細胞がリンパ球であり、リンパ球は免疫を担う細胞だから です。腫瘍化しているリンパ球をさらに増殖させることに繋がりかねないと危 惧する意見があるからです。 この意見が正しいか否かは、まだ分かりませんが、質問内容に入っているので とりあえずお知らせしておきます。 リンパ肉腫であるか否かは、腫大したリンパ節の吸引や血液塗抹で、異型化し たリンパ球を捜すということでおおよその見当はつくのではないでしょうか。 8月8日の ひなたさんへ 本人を見ていないのに こんな言い方もなんですが、鼻の頭の傷というのであ れば、ケージで傷つけた場合が最も普通のケースではないでしょうか? それとは明らかに異なるといのであれば、掲示板ではなく直接診察を受けられ る方が良いと思います。 8月9日の さくどんさんへ トキソプラズマは、本来は猫のコクシジウム原虫の1つの種類なのですが、非 常に広い宿主域をもち、ほとんどの温血動物に感染します。其れ故、人畜共通 感染症の話になりますとかなりの頻度で取り上げられます。 疾病として比較的取り上げられやすいのは、人間、豚、猫ということになるで しょうか。発熱、リンパ節の腫大・出血・壊死、肝臓の腫大や壊死巣の形成、 肺の出血や水腫等もあげられます。 これらは、トキソプラズマの原虫が細網内皮系の細胞に取り込まれようとする 際に、逆にこれらの細胞を破壊しておきます。人間の場合ですと、発熱やリン パ節の腫大、肺炎のような症状として現れるのではないでしょうか。猫の場合 ですと下痢を見のがさないようにする必要もありそうです。 この疾病が心配されるのは、妊婦が初感染した際に胎児に影響が及ぶことが懸 念されるからなのですが、重度の場合は流産で軽度の場合は赤ちゃんの水頭症 になると言って、産婦人科のお医者様はよく脅かしてくれます。 私の所へも、妊娠してトキソプラズマの抗体検査をしたら陽性で、お医者様に 中絶を勧められたという相談があります。この場合、殆どが取り越し苦労です。 トキソプラズマ病の抗体を保有しているということは、問題ではありません。 今現在、トキソプラズマ原虫が活動しているかが問題なのです。慌てて飛んで くる方を見ますと、みなさん健康に問題はないようで、自覚症状もありません。 では、どうするかというと、2〜3週間後にもう一度抗体検査を実施してみれ ば良いのです。現在、病原体が増殖中であれば、必ず抗体価は上昇しているは ずです。抗体価が上昇していなければ、それは過去の感染であり、その抗体は あなたをトキソプラズマから守ってくれるためのものなのです。胎児にも問題 はありません。 2度も採血されるのは嫌という場合は、採血した血液の一部を2ーME処理し て貰って、同じ検査をするのです。この方法でも新しい感染か過去の感染かが わかります。 胎児と言えども1人の人間の命なのですから、勧められるままに中絶を考える 前に このくらいの手間暇はかけて欲しいと私は考えています。 私の同級生の奥さんは、高い抗体価を持っていたのにもかかわらず、4人の子 供を生みました。どの子も皆健康な子供です。 感染源としての猫なら、トキソプラズマのオオシストを排せつするのは、かな り限定された時期になりますし、猫でこの疾病に遭遇する機会自体が相当に減 っているように感じています。 豚についても、昭和40〜50年代に感染豚の摘発淘汰が、国の事業として実 施されており、やはり目にする機会は減少しています。 感染源としてプレーリードッグを心配されているのであれば、まずはこちらの 抗体検査を実施してみることです。ただ、感染源としてはトキソプラズマに接 触する機会がすくない動物のように思います。 プレーリーでは、以前から「ペスト」の危険性が指摘されております。流通し ている個体の殆どは、国内繁殖個体ではないと考えられますので、心配するの であれば、むしろこちらではないでしょうか。 購入する店鋪と本人の健康状態を入念にチェックすることが必要ですし、過度 の接触は避けるようにしなくてはなりません。 すでに購入済みで、心配だからといって捨てるようなことだけは絶対にしない でください。 8月9日の わださんへ 肝臓や腎臓に負担になるような場合は、ミルクといえども本人が好まなくなる ことはあります。 ただ、年令もありますが、実際の健康状態を検査してみなくては何らの参考意 見にならないように思います。今までの主治医の先生に相談された方が適切な 回答がいただけるでしょう。 |
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