意見交換掲示板過去発言No.0000-200108-53
イヌネコとのキス |
投稿日 2001年8月4日(土)22時08分 はたの
森の猫さま 打ち間違いではありません。 衛生上の問題があることは判っておりますし、それは広く知られるべきですが、知った上でどう判断するか・・・は個々人の問題でしょう。衛生的に問題だからいけない、というのはやや短絡的でありましょう。イヌネコあるいは鳥とキスするのと同じぐらいのリスクがある行為はいくらでもあり、そのすべてを忌避していたら窮屈でしょうから。そしてまた、リスクの大小と直接の関係なく、それぞれの行為にはメリットがあるわけで、リスクとメリットを個々人がどう評価するか、でありましょう。 たとえばスポーツにはリスクがあり、同時に喜びがあります。その喜びを尊ぶひとはリスクを犯してスポーツをするでしょう。さらにいえばリスクがあるから楽しい、って面さえあります。スポーツで怪我するなんてバカらしいと思うひとはしない。というように。 で、個人的な選択として、カメをいじった後に手を洗うのはリスク減少効果が大きく、そのわりにはカメと暮らす喜びを損なわないと感じます。イヌネコ鳥とキスするのは、リスクはありますが、それを上回る喜びがある、と感じる・・・ということです。も少し厳密に言うと、特に子供にたいして、「動物とキスすることを禁じる」デメリットは、それによってもたらされるリスク減少効果より大きい、と感じています。100年前より社会全体の潔癖傾向は強まっていると感じ、30年ほど前の潔癖すぎて弊害を生じた「科学的育児(人工乳礼賛とか、ミルクを加熱消毒して発育不良が出たとか)」の教訓にも関わらずそれが是正されていないと感じています。せめて多少ともバランスを取り戻すためには、大人は子供にたいして「汚いこと」をするように仕向けるほうがよいだろう、と。学校等では責任問題からしてそれはやりにくいですから。 鳥を含めたエキゾチックなものは別として、イヌネコとキスするリスクがもしも充分に高いのなら、そうした行動はこの1万年ないし数千年の間に淘汰されてきたはずです。そうでないからには、リスクはゼロではないけれど大したもんじゃない、と考えています。少なくとも子供を潔癖症的に誘導し脆弱にしてしまうデメリットに比べれば。 子供は指に怪我しながら刃物の使いかたを覚えるしかないので、浅沼事件→刃物禁止→「近頃の子供は鉛筆も削れない」的ナンセンスを他の分野でも繰り返すのはどうかと思っています。イヌと遊べば押し倒されて顔じゅう嘗め回されてきゃあきゃあいう、ネコと暮らせば糞をいじったり口にしようとして親を慌てさせる、子供はそういう経験を通して育つものでありましょう。 ズーノーシスでも水辺の遊びでも刃物でもヒトは死ぬことはありますが、そのリスクとヒトは長い時間をかけて折り合いをつけてきており、すでにある程度減らすことができています。これをなお減らそうとすることは、必要コストが大きく、弊害も大きいでしょう。それよりはイヌネコとキスするぐらいでは病気を拾わない抵抗力、溺死しない判断力、刃物を取り扱う際の常識・・・を育むほうがよいだろう、と。そのぶんの「大人の注意力」をヒトがまだ折り合いをつけきれていないリスク要因、たとえば合成された有害な化学物質等に対して、あるいは古い付き合いの相手の中でも特にハイリスクと判っているものに用いるほうが、全体のリスクは減り、弊害も少ない・・・と考えます。ポリカーボネイトの食器・哺乳瓶は避ける、とか、北海道・東北北部では沢の生水は飲まない、ネズミやキツネの死体に素手で触らない、とかですね。 繰り返しますがあくまで私の個人的な感じかたですので、ご参考程度に。 |
|
|
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」 ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴) サポーターや広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)、 多くの人々に支えられています。 獣医師広報板へのリンク・サポーター募集・ボランティアスタッフ募集・プライバシーポリシー 獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。 @mukumuku_vetsさんをフォロー
Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved |