獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200206-129

RES:薬用量
投稿日 2002年6月16日(日)12時35分 プロキオン

なんママさんのお書き込みになっている内容が気になりましたので。

まず、こちらの掲示板においては商品名の直接の記載は望ましくないというこ
とになっていたと思います。
これは、ネットにおける宣伝やクレームあるいは営業妨害に対して、こちらの
掲示板が利用されないためではないかと個人的に推測しています。

当然、話としては商品名が記載されている方が内容を把握しやすいのですが、
投稿時の注意書きに記載されている以上は、どうしても書きたい場合は事前に
了解をとるのがマナーかと思います。

記載されている薬用量については、
 アモキシシリンは、10〜50mg/kg 6〜12時間毎
 トラネキサム酸は、 5〜30mg/kg
というのが、日本小動物獣医師会が発行している薬用量マニュアルに記載され
ている量です。
違う出典を捜せば、また少し異なる薬用量が記載されているかもしれません。
大切なのは、これらの薬剤は獣医師の診断に基づいて、その裁量の範囲で使用
されるということです。
体力のある患者に大量を一気に使用してカタをつけたいと考える向きもあり、
お腹を壊しやすい患者であるから、そちらに配慮して最小単位から使用すると
いう考えもあるでしょうし、同じ疾病の患者が続くので耐性菌を作りたくない
という理由もあったりするでしょう。
薬剤の匙加減というのは、外科医のメスさばきと同列のものです。何をどのよ
うに選んで使うかは、その主治医の考えが尊重されるべきです。患者を直接診
察していない他の獣医師が、現段階で意見を求められても、意見を述べる方が
むしろマナー違反といえます。

犬猫の小動物では、抗生物質やステロイド剤の使用について、よく医療関係者
(とくに看護士の方)が量が多すぎるのではと心配されることがあります。
でも、人間の量では効かないんです。むろん、体も小さいので案全域も狭くな
りますが、効果が現れなければ、投薬そのものに意味がありません。
また、爬虫類や両生類のような動物であれば、逆にこれだけの量でというよう
な低薬用量でも中毒が起こり得ます。
それだけ、一様で無いのであって、患者の状況に応じての対応が必要なのです。

麻酔薬を例に例えれば、マニュアルにある薬用量を全量投薬しても眠ってくれ
ない患者もいるし、少量でもショックを起こす患者もいるわけです。
眠ってくれた量がその患者の薬用量なのです。
マニュアルに薬用量は記載されていても、薬用量はなく、患者の状況に応じて
匙加減をするのが獣医師の仕事です。それが診療ではないでしょうか。

そういう理由ですから、私にはなんママさんが書き込みでもとめている内容に
ついてはレスを書く事はできません。
薬用量の数値についての疑問であれば、第三者にお尋ねになるよりも、まず主
治医に尋ねるべきです。主治医の説明や意図するところが納得できないという
のであれば、病院を変更するというのが順序だと考えます。

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