意見交換掲示板過去発言No.0000-200209-27
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投稿日 2002年9月4日(水)16時27分 プロキオン
9月3日の たんぽぽさんへ 草食動物の臼歯については、歯と歯周靱帯との付着は全周において均一という わけではありません。前後と左右では、その強度がことなっているのです。 これは切歯についても同様の傾向があるようです。 したがって、ある方向に歯がグラグラするという場面があっても、必ずしも異 常とはいえません。 プレーリードッグの場合、このことをそのまま当てはめてよいのか否か分かり ませんが、左右にグラグラするのであれば、噛み合わせの力を逃がすためとも 考えられます。また、明らか切歯が左右に離れているのであれば、これは過長 があって開いてしまっているとも考えられます。 餌を食べるのに障害となっていないのであれば、さほどのことはないのかもし れませんが、問題が深刻にならないうちに、情況把握が可能な方に見てもらう ことが良いと思います。 9月4日の harukaさんへ Gハムの毛が薄いのですね。これは、ちょっと漠然としているので、なんと答 えて良いのか、窮します。 老化に伴う生理的な減毛かもしれませんし、ニキビダニがいたずらしているの かもしれませんし、細菌や真菌もかかわっているかもしれません。あるいは、 副腎皮質ホルモンが過剰分泌が始まったばかりなのかもしれません。 このような場合は、文字情報ではほとんど分かりませんので、実際に目で見て 判断できる方に相談された方が良いと考えます。 お近くのハムスターを診察してくださる動物病院を捜されることをお勧めしま す。エキゾチックペット、とくに小さい体力のない動物を飼育されている飼い 主さんは、常日頃から信頼できる主治医を捜すことに努めるようにして下さい。 9月4日の ミンクさんへ フェレットの場合、みなさん、「副腎腫瘍」という単語を用いますが、これが 腫瘍と言えるかどうか、私は疑義を持っています。 まあ、今、こんなことを言っても始まりませんので、疾病についてお話します。 副腎というのは、皮質と髄室から成ります。そして、皮質の球状帯からミネラ ルコルチコイドを、束状帯からグルココルチコイドを、網状帯から性ステロイ ドを分泌しています。(髄室の分泌は省略) 普通、クッシング症候群と他の動物で言われている疾病の場合は束状帯からの グルココルチコイドに由来するもので、これにはある薬剤が治療に用いられま す。 しかし、フェレットにおける副腎由来の脱毛は、これとは異なり網状帯からの 性ホルモンの分泌過剰に由来しています。性ホルモン過剰性脱毛なのです。し たがって、問題のある場所もホルモンも異なるために クッシング症候群で使 用される薬剤が効果が期待できないのです。 そこで、勢い、オペしかないという外科的な手法が勧められてしまうわけなの ですが、これは必ずしもそうとばかり言えません。 じつは、1週間程前にメールで友人の獣医師より問い合わせがありました。曰 く、静岡県の方が、マスコミで有名な病院からの転院で自分の病院(横浜)へ やってきた。自分としては手術するべきか否か判断に迷ったので、フェレット を数多く手掛けている市内の病院を紹介したが、それで良かっただろうかとい う内容でした。 紹介先に病院は、研究会でも講師を勤める先生でもあり、フェレットの副腎疾 患についても使用できる薬品を御存知なので、良い対応だったのではと考えて います。 そうなのです、フェレットの副腎疾患でも網状帯の性ホルモンにも有効な医薬 品はあるのです。この薬につていは過去のログにも書いたように思いますので 今回は省略しますが、国内で入手可能な薬ですので、飼い主さんの選択肢とし ては、手術しかないというわけではありません。 ですから、手術が全てではありませんし、それを受けさせる事が出来なかった からといって、ミンクさんが負い目を感じる必要はありません。 この薬がすべての症例に有効ということでもありませんし、手術の方が適応と いう症例もあると思います。 「動物と飼い主」「動物と疾病」の関係において、「もし」「たら」「れば」 は事後に考えるのであれば、それはいくらでも出てくることでしょう。 でも、それは考えても仕方のない事です。その時、その時で飼い主として精一 杯のことをしてあげていれば、悔やむことではありません。 それでも心にかかることがあるのであれば、それは次にお迎えする子のために 活かしてあげて下さい。 |
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