獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200210-125

マルチレス
投稿日 2002年10月16日(水)16時27分 プロキオン

10月15日の みうさんへ
血尿についてですが、何故改善しないのかよく分からないということなら遭遇
するのは珍しくないと思います。でも、血尿の原因が不明ということは、ちと
疑問があります。どこがどういう状態になって出血しているかということはキ
チンと検査すれば分かる事だと考えます。
お知り合いの猫は、おそらくこの点があいまいにされていたのだと思います。

血尿である以上は、腎臓、輸尿管、膀胱、尿道のいずれかに由来しているはず
ですから、出血場所を想定するにしてもおおよそ膀胱が原因であろうというこ
とで治療されているのではないでしょうか?
治療をすすめるには、できるかぎり情報が多いのにこしたことはありません。
尿路造影によるレントゲン撮影や、尿沈査における細胞診を実施してみると新
たな情報が得られるのではないでしょうか? それ程設備を必要とする検査で
はないと思います。

私の従姉妹の猫も血尿がなかなか止まらなかったのですが、療法食を併用した
ところ、ぴったりと止まりました。おかげで抗生物質や止血剤ともおさらばで
きました。
迷うというのは情報が不足しているからであって、治療方針が確立していれば
迷うこともあまりないように思います。


10月15日の ふかぽんさんへ
私のところでは、ぺレット中心の食生活で若干の穀類を足してあげているだけ
でした。野菜は新鮮なものを少量ですね。これは、乾燥野菜では駄目というこ
とではなく、せっかくあげるのだから季節のものを新鮮なうちにという考えで
す。乾燥しているものならペレットを食べているのと変わりないだろうという
考えからです。あとは、投薬しやすいように ヨーグルトの味を教えておきま
した。
ひまわりの種やナッツ類は、本来は必要ないものですが、コミュニケーション
をとるためにあげる程度であれば、かまわないと思います。


10月16日の ぱぴさんへ
避妊手術後の乳汁の分泌についてですが、これは御心配いりません。分娩に至
るまでに乳腺組織がキチンと発達していれば、分泌されます。
私は帝王切開をあまり引き受けない主義ですが、依頼された場合は、卵巣や子
宮の切除もいっしょに実施するように説いています。避妊手術はいずれ必要で
すし、一度子犬子猫をみれば、そう何回も分娩をさせる必要性はないですし、
どうせお腹を切られるのなら、1回で済ませてあげたいと考えています。
したがって、子犬子猫の利殖を考えている方というのは、私の病院は避けるよ
うになりますね。私の方もそれは好都合なので、それで押し通しています。

乳腺組織の発達には卵胞ホルモンが必要であり、泌乳開始には子宮収縮ホルモ
ンが引き金となりますが、催乳ホルモンそのものは別の系統です。御心配する
にはおよばないと思いますよ。


10月16日の みしゃさんへ
眼瞼が閉じることができるようになってきたということは、眼球の腫大という
か、結膜の腫脹がひいてきたということになるのかもしれませんね。
服用されているお薬をみると抗生物質であり、眼圧の降下を目的としたお薬で
はないので、やはり結膜炎の範疇かもしれませんね。

眼が白く濁っているというのは、恐らく角膜炎によるものではないでしょうか。
以前にも書きましたが、マイボーム腺の発達している動物ですので、炎症によっ
てこちらからの分泌が減少すると角膜炎を併発しやすくなります。
緑内障の角膜浮腫ということであれば、眼球が小さくなるとか、眼瞼が閉鎖でき
るようになるとも思えません。
白内障というのは、水晶体の白い濁りですから、よくよく注意してみないと分か
りません。前後関係からは角膜の白濁である可能性が高いように推測します。

眼の周囲の脱毛は、これは点眼薬のせいでしょう。濡れているのを嫌がって擦っ
たり、また濡れている事自体で脱毛しやすくなります。これは点眼薬に使用に
附随してよく見られる現象ですので、ティッシュペーパーのこよりやガーゼ等
でポンポンという感じで余分な水分をとってあげる必要があります。
私のところでは、綿棒をそっと押し当てています。

点眼薬については、アミノグリコシド系のお薬ということになるのかな? 点
眼に限定している分にはあまり問題とはなりませんが、眼の周囲をぬぐってそ
のまま舐めてしまわないように注意して下さい! このためにも点眼後は濡れ
たままにしないで下さいね。

眼軟膏はテトラサイクリン系ということになりますね。こちらについては私も
主治医の先生の選択を支持します。
テトラサイクリンについては海外のホームページでは、ハムスターに不適とし
ているところもありますが、私自身は問題とは感じていません。眼球保護のた
めとハムスターの眼ということであれば、眼軟膏は必要と考えます。

内服薬については、眼球という組織には「房血液関門」と呼ばれる機能があっ
て抗生物質等のお薬は眼に分布しにくい機構が存在します。
したがって、こちらにあまり過度の期待をされないようにお願いします。ただ、
それでも今回のような症例であれば、私も内服薬を併用しているはずですよ。

とにかく根気よく治療を続けて下さい。


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